羊というよりヤギですね2

Lxxi ページ30

お金が手に入ったすぐあとは、母親の命が助かるという嬉しさでいっぱいだったらしい。






…しかし、時間が経つにつれて、あの事件の記事やニュース、ネット掲示板が目に付くようになったそうだ。


自分の売った情報のせいで、被害にあった夫婦の子供達が見世物にされているのを見て、自分のやったことが、いかに自分勝手で、情報にされた相手にどんなに悪影響を及ぼすか、その時やっと気づいたのだと言う。



それから、罪悪感でおかしくなりそうだと、なんて酷いことをしてしまったんだと、ツヅミは泣いて、心の底から自分の行いを悔やんでいた。






ミナ「…………大丈夫、大丈夫だよ、ツヅミ。」









私は、彼女を抱きしめる。




人一倍優しい人間ということを、私は誰よりも知っていたから。













それから私達は、2人で話した。






これから私達がどうすればいいか。


私も着いていくから、ちゃんと謝りに行こう。


許して貰えないかもしれないけど、彼らのために、できることをしよう。







そう、決めた。












ツヅミ「………ごめん、ミナ。自分の代わりに、学校に出てくれないかな。

すぐ帰ってきてくれてかまわない。流石にみんな、心配してるみたいでね。


…………申し訳ないけど、まだ、学校に行けるほど精神面は回復していないんだ。」




ミナ「わかった。…任せてよ。私はいつだって、ツヅミの味方だからさ。」



そう言ってまた抱きしめれば、少しほっとしたように笑うツヅミ。







ツヅミ「…ありがとう。お礼に、今日はオムライス、作って待ってるよ。ミナ、好きだろう？」

ミナ「本当？やった。それじゃあプリン買って帰るよ。2人で食べよ。…約束ね。」

ツヅミ「…うん、約束。」








小指を絡める。









大丈夫。




私が、絶対にツヅミを支える。








…………よし、とびきり美味しいプリンを、買っていこう。















…………………そう、考えていたのに。

Lxxii→←Lxx

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す