Lxviii ページ27
ツヅミは、妹は、優秀な子だった。
髪色と目の色が違うだけだというのに、あの子が持つ才能は優れたものばかりだった。
…私といえば、特に、取り柄はない。
頭も運動神経も人並みで、得意なことなんて何もない。
小学生から続けているバスケだって、中1の時準備中に左腕に大怪我を負ってからというもの、選手生命は絶たれた。
周りの人は、口を揃えて言う。
双子のくせに、ミナは、と。
当然昔は、グレたりもした。おっとりしたツヅミに比べて、私はまるでギャルみたいな格好をして、よく先生に怒られていた。
それでも、ツヅミを嫌いになることはなかった。
周りの人達は嫌いだったけれど、ツヅミを含め、家族だけは大好きだった。
そのおかげで、部活動も、マネージャーという形で復帰した。
辛い時は側にいてくれて、私の話を楽しそうに聞いてくれて、私のことを必要としてくれていた。
家族想いな、自慢の家族だった。
でもある日。
お母さんの容態が、悪い方へ急変した。
仕事のできないお母さんや、まだ働くことの出来ない私たちの代わりに、1人でお父さんが働くうちは、裕福ではなかった。
借金だって、沢山溜まっている。
………………お母さんの為の手術費が準備出来ないと知った時の絶望を、今でも覚えている。
それは、今から5年前の話だった。
泣いて、泣いて、それから数日が経った頃。
私は、仕事に出たお父さんや、部屋にこもってしまったツヅミの代わりに、買い物に出ていた。
料理は不得意じゃない。…だけど、オムライスだけは、どうも上手くできない。
逆にツヅミが作るオムライスは格別だ。お母さんが作る味に、とてもよく似ている。
今日は、プリンも買った。元気がない時、お父さんが決まって買ってきてくれる。
…きっと、気休めでしか、ないけれど。
『…もう、夕方か。………近道しよ。』
ビルの裏路地に入る。
急いでる時は、いつもこの道を通るのだ。
道は狭いけれど、フェンスの向こうには小川が流れていて、たまにその向こうの線路には電車がはしっている。
その日も、電車が走っていた。
赤い夕日に、照らされて。
『…?』
その時。
電車から、一人の男が飛び降りた。
ドキリと胸がなる。
なぜなら、男が飛び降りた、その線路には___
グシャッ
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クライヤ(プロフ) - 白井ゆりさん» そう言っていただけると嬉しいです!!これからも続き更新してきますので楽しみにしててください!! (2022年3月23日 6時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
白井ゆり - かなり続きが気になります‼︎ 続き書くの頑張ってください‼︎ 待ってます‼︎ (2022年3月23日 1時) (レス) @page36 id: fb320e0723 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!!!喜んでいただけているようで嬉しい限りです!!!!これからも更新頑張っていきます!! (2022年3月20日 11時) (レス) @page19 id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - 続編ありがとうございます!占ツクログインしよっかな...ログインしたら間違いなく一番にお気に入り作者に入れます!!!!いつも面白い作品ありがとうございます!応援してます! (2022年3月19日 18時) (レス) @page11 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - 青いGさん» ありがとうございます!!!そう言って頂けると嬉しいです!!いつも読んでくださり感謝の極みです!!!これからも更新頑張ります!!! (2022年3月19日 10時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クライヤ | 作成日時:2022年3月19日 4時