3話【灰ヶ峰零】 ページ3
「零!」
「やだ、消えたくな、」
「え?」
はっと目が覚める。目の前には佐奈がいて、少し心配そうに私を見ている。
「大丈夫?かなりうなされていたようだけど」
「あ、ああ。大丈夫だよ。悪い夢をみていたらしくてね」
目をつぶって深呼吸をすると、ここがアーレスだと気づく。
よくみる悪夢だ。
だけど今日は、少しだけ違った気がする。自分が薄くなっていくなんて、過去の記憶ではそんなことはなかったし、所々違う所があった。所詮夢なので、別に気にしないが。
「大丈夫ならいいけど。私は一階に行ってるね」
そういうと佐奈は部屋から出て行った。
時計を見ると、まだいつも起きる時間より一時間ほど早いようだ。
もう一度寝るには遅い時間帯なので、仕方なく起きる。
軽く身支度を整え、鏡を見ると、顔色が悪く、さらにうっすらと涙の跡が残っている。
きっと佐奈にはばれているだろう。この涙について何も問いかけないでいてくれた彼女に感謝しつつ、もう一度時計を見る。ゆっくり支度をしていたせいか、あれから30分たっていた。
部屋を出て、一階へ降りる。
「あ、零さん。おはよう……」
後ろから声をかけられて振り向くと、そこにはいつものようにポニーテールをした、ルルチアがいた。
「顔色が悪いよ……?」
心配そうに私を見つめてくる彼女に、大丈夫だよ、と伝えて別れる。
今日はいろいろな人に言われそうだ。勿論、心配をしてくれるのは嬉しいのだが。
テーブルについて、トーストを焼く。
私はいつも起きる時間が皆より少し早い。
しかも今日は30分前の時間なので、他に人はいなかった。
最近はトラウマを具現化する魔物の噂を多く聞く。
噂自体はかなり前から聞いていたが、ほとんど知られていなかった。
きっとアーレスの中で知っているのは少数だろう。いや、少数でいてほしい。
もしその魔物に立ち向かうとしても、私は振り向かない。決してなかなか立ち向かえないとしても。
アーレスに所属している以上、私は振り向いてはいけない。
_____________________________________
よもぎです。一話ごとのあとがきみたいなものを零の派生小説で書いていこうと思います。見たい人だけこちらからどうぞ。
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緋雨(プロフ) - 更新しました (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨(プロフ) - 更新します。 (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 終わりました。 (2019年1月12日 20時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 更新します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 終わりました (2019年1月11日 22時) (レス) id: 0f72c4ac28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アーレス(八彩・ユリ夜桜) x他3人 | 作成日時:2018年9月15日 13時