23話【月宮空斗】 ページ23
先に行ってて、と言って地操は2階まで駆け上がっていってしまった。
さて。俺も部屋に戻ってもいいんだけど、残念だけどこれからやらなくてはいけないことがある。
零姉もルルも、ここにいる3人のことも心配なのだが、これに穴を開ければ大事になってしまうだろう。
申し訳ないけど、ここは今ここにいる人達に任せてしまおう。
「ごめん、今からちょっと用事あるんだ。本当に申し訳ないんだけど、ごめん。出るね。」
そう言うと、洋ちゃん、陽葵、颯音の順に行ってらっしゃいとか気をつけて、とか。暖かい言葉と共に手を振ってくれていた。
それに応えるように笑顔で手を振って、リビングから出ていく。
うわ、やっばい。約束の時間ギリギリかも。
約束の時間まであと10分ほど。
待ち合わせはここからピッタリ10分。
走ればなんとかなる、といったところだろう。
そんなことを考えながら玄関のドアに手をかける。そのまま軽く押すと、生暖かい風が頬を撫でる。なんとなく嫌な予感がした。
……そんなことは気にしてる場合じゃない。
目的の場所まで駆け足で向かって行く。
人が密集している所ではひたすら「すいません、失礼します。」を繰り返していた。
大通りの右側にある4つ目の細い路地。先程とは対照的に静かで、どこか暗い場所。
その路地の更に細い道に入ると、いつもお世話になっている喫茶店。
その店の前には1人の少年が立っている。だいたい陽葵ぐらいだろうか。
その子にじっと見ているのがバレたのだろう、彼は端末から目を離してこちらに向かって来た。
「あの……。月宮さん、ですか?」
まさか、今回の依頼人はこの少年だったとは。少しばかり驚いてしまう。
一人でそんなことを思っていると、目の前の少年が戸惑ったような顔つきでこちらを伺ってくる。
そんな少年ににこりと笑いかけて、詳しい内容を聞くために喫茶店の中に入るように促す。
▼
喫茶店を出ると、空はぽっかり穴が空いたようだった。
依頼人の少年と別れて、アーレスへ向かう。
―――“何か”にぶつかったような衝撃。
あの時と同じ、ゴツゴツとした、それでいて柔らかな毛の感触が手から伝わっていく。全身を駆け巡るのはあの時の思い出。
落とした物を気にする余裕なんてない。
鉛のように重たい足を叱咤し、目の前の魔物と反対の方向へ思いきり走る。
――早く、早く。あいつから逃げなくては。
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緋雨(プロフ) - 更新しました (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨(プロフ) - 更新します。 (2019年1月27日 19時) (レス) id: a99e3f0dd3 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 終わりました。 (2019年1月12日 20時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
八彩(プロフ) - 更新します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 6f8b3d2233 (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 終わりました (2019年1月11日 22時) (レス) id: 0f72c4ac28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アーレス(八彩・ユリ夜桜) x他3人 | 作成日時:2018年9月15日 13時