ニヒャクジュウイチ話 ※微官能表現注意 ページ16
いったいどれほど長く口付けていたのか。
わからないけど、確かなことは私の魔力が枯渇しかける程に長く長く魔力供給をしていたということ。
「はぁ、はぁ……」
唇を離して、その場に座り込んだ。
酷く頭がくらくらして、息苦しくて、何度も荒い息を繰り返すけど一向に治まる様子はなく。
酸素と魔力の両方が不足していると、今の状況から自己判断を下して。
しかし、まるで私とは反比例するかのようにランサーの魔力量は増えているようで、結界の僅かな光に照らされた彼の顔の血色も良くなっていた。
「ラン、サー……」
途切れ途切れで彼を呼んでだのだけど反応はない。
「ランサー……」
手を伸ばす。
人の肌としては少し低い温度にまで上がった彼の頬に左手を添えて、重くなる目蓋と身体でもう一度呼んでみたら目蓋が震えたのがかろうじて見えて。
閉じられていたランサーの目蓋が徐々に開いてきて、綺麗な蜂蜜色の瞳と目が合った。
「A、様……?」
あぁ、よかった。
無事だった。
「ランサー……無事で、よか……」
安堵してしまったため、一気に疲労感が押し寄せてきた私は、抗うこともなく霞みゆく意識をそっと白に委ねた。
冷たい床へと崩れ落ちそうになるAを伸ばされていた彼女の左手を拘束具が外れていた右手で掴み取ることによって、第四次聖杯戦争のランサーは彼女の転倒を防いだ。
「A様?」
深い眠りに就く彼女を呼ぶが答えはない。
彼女が眠ってしまったゆえに光源としてあった結界も消えたため、辺りは再び暗闇が包んでしまった。
左手を動かそうにも拘束具が邪魔をする。
一度Aを石畳へとゆっくりと寝かせた第四次のランサーは宙より槍を一本取り出す。
右手に持ったその槍は自身の宝具の一つ。
魔を断つ槍。
その槍を的確に左手を拘束する枷へと勢い良く振り突けば簡単に壊れる枷。
同様に両足も首も拘束する枷も壊した彼は、まるで真っ暗でも彼女の位置が見えているかのように寸分狂いなく、頬へと自身の右手を添えた。
「A様」
愛おしい気に呟いた名には熱を含んでいた。
今彼の身体を巡るのは憎きあの魔女の魔力ではなく、目の前にて眠る彼女の魔力。
あぁなんと光栄なことだろうか。
彼女から
暗闇の中、親指の腹で艶かしい唇を撫でた彼は眠り姫を目覚めさすかのようにその唇にへと口付けた。
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翔べないペンギン(プロフ) - 亜流乃さん» コメントありがとうございます。そうなのです。ようやくお互いある種の再開ができましたので。どうにか完結できるように尽力しますのでお付き合いいただけますと幸いです。ジャンヌになるのも気に入っていただけて嬉しいです(照) (2021年3月26日 19時) (レス) id: 3d75302081 (このIDを非表示/違反報告)
亜流乃(プロフ) - やっとランサーと!!!!!!!!!こういうチュエーション待って ました!ここまで書いて下さりありがとうございます!これからも応援してます!あと、ジャンヌになる展開も好きです(笑) (2021年3月25日 21時) (レス) id: bff6baca0f (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ありなさん» お待たせしてしまい申し訳ありません。先行きも少々不安ですが持続できるように努めます。コメントありがとうございます。 (2021年3月19日 18時) (レス) id: 3d75302081 (このIDを非表示/違反報告)
ありな - 続編おめでとうございます!凄く嬉しいです! (2021年3月18日 19時) (レス) id: 0b757b95a3 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ロゼファさん» お待たせいたしまして申し訳ありません。持続できるように頑張りますね。コメントありがとうございます。 (2021年3月13日 16時) (レス) id: 3d75302081 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2021年3月12日 1時