橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのヨン

ヒャクナナジュウロク話 ページ31

「はぁ？ キャスターとは共闘関係を組んだままでいいならぁ？ 貴女、バカじゃないの!?」

唖然とした表情のリンちゃんに苦笑い。

こういう反応をされることはわかっていた。

「でも私、A・エルメロイ・アーチボルトだけです。ですのでアサシンは関係ありません」
「関係ありません、じゃないでしょ！ マスターとサーヴァントはある意味一心同体！ 余程の考え方が違わない限りサーヴァントはマスターの意見を聞くわ。だから貴女がキャスターと共闘関係のままだと言うのならアサシンもその考えに従う」
ーーお嬢さんの言うことは一理ある。が、正直な話、俺はマスターの考えに反対だ。結果から見れば俺達の方がキャスターを裏切ったことになる。あの女の性格上、絶対マスターと俺のことを許しているはずがない。自ら危険に突っ込んで行くのは流石に見過ごせねぇ。

リンちゃんとアサシンに正論という言葉で物凄く責められており、ベッドの上に縮こまってしまう。

何故ダメなのだろうか。

いやダメなことはわかっている、ただの私の我が儘だ。

酷ければキャスターに八つ裂きにされるか、なけなしの私の魔力を彼女の生命活動維持の足しにされるか、である。

それでもフードで見えなかったとはいえ、キャスターは泣きそうな雰囲気だったことはわかる。

だからせめて、説得力の欠片も何もないけど、彼女の味方でいてあげたいなと思った。

のだけど。

「ダメ、ですか？」
『ダメ』

ばっさりと二人に一刀両断されてしまった。

ーー凛。彼女はキャスターの味方でいたいと言っているんだ。此方の意に反している。そもそも私はキャスターの仲間だった彼女等を此方に引き入れること自体認めていない。
「私が貸し借り嫌いなこと知ってるでしょ？」
ーー……はぁ。

ある種、今回の謎の言い合いの味方だと勝手に思っていたアーチャーが、リンちゃんに敗れてしまった。

溜め息を一つ吐(つ)き、以降何も発言することがなくなってしまったアーチャーに、霊体化しているがおそらくいるであろう方向を見るけど何も言われない。

「ということで、キャスターの味方だった云々は忘れて、私と手を組みましょ」
「……ですが」
「あー！ もう！ 良いから私と組みなさい！」
「え」
「返事！」
「は、はい！」

据わった目のリンちゃんが恐ろしくて、つい頷いてしまった。

アサシンが念話でお疲れと言ってきたのだけど、リンちゃんが鬼のような形相になった瞬間になんでもないと撤回していて。

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