橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのヨン

ヒャクロクジュウサン話 ページ18

「止めろ！ 藤ねぇを離せ！」
「っ、タイガ！」

キャスターが糸のようなものを使って、タイガの首を締め上げる。

苦しそうに呻き、顔を歪めるタイガに背筋が寒くなった。

「やめてキャスター！ 私の友達を傷付けないで！」
「……貴女は黙っていなさいアサシンのマスターさん、私はこの坊やと話しているの」
「！」
「！ マスター！」

キャスターが一瞬此方を見た、と思えば突然大量の水が私を襲ってくる。

自動で展開された結界のお陰で私の身体には纏われることはなかった。

けど、代わりに自動で張った結界にくっ付いて離れる様子はない。

「Aさん！」
「っキャスター！ マスターを離せ！」
「大人しくしていれば彼女にも危害は加えないわ」

結界と纏わりついている水越しにアサシンとシロウ君が焦ったように此方を見ている。

「私のことは気にしないで下さい！ っアサシン後ろ！」
「！」

彼の後ろに刃を振り被る竜牙兵が複数見えて、叫んだ。

転がるように左に避け、足払いをして竜牙兵の体勢を崩した隙にアサシンは距離を取っていた。

アサシン一人に対して十体近くの竜牙兵に、キャスターへ攻撃を止めるようにお願いをする。

「邪魔になるようだから貴女達はそこで黙って見ていなさい。さて坊や、私の話に乗っていただけるかしら？」
「俺はお前とは組まない」
「そう、嫌われてしまったようね」

絶対的な板挟みである。

美少女は特に面識はないけどシロウ君は知り合い、そしてタイガは友達。

対してキャスターとは共闘関係。

どうすればいい、どうすればこの状況下から打開できる。

シロウ君とキャスターのやり取りをただ私は水の檻のようなものの中から眺めるだけしかできないのか。

水牢の外にはアサシンが竜牙兵と戦っている、美少女も機を伺っている。

何かしなければならない。

「……」

そっと鞄から私の持っている小瓶とは違う、別の小瓶を取り出す。

私の義理の姉妹からもらった小瓶。

透明な小瓶越しに見える色は、シルバー。

私の考えが正しければこれは……。

「無抵抗の士郎を殺すつもり!?」

はっとする。

顔を上げて視線をシロウ君とキャスターの方へ向けば、シロウ君を守るかのようにセイバーがキャスターへ見えない剣を振るっていて。

彼女が攻撃をする度、キャスターがセイバーの攻撃を避ける度、気絶しているタイガが激しく上下左右に動いていた。

考えている余裕はない。

ヒャクロクジュウヨン話　※流血表現有→←ヒャクロクジュウニ話

ラッキーアイテム

鳳凰の羽根

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

ラッキーサーヴァントクラス

シールダー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す