橄欖の側にて咲く青薔薇の密かな望み。そのヨン

ヒャクロクジュウニ話 ページ17

私以外に向かってくる竜牙兵達を、私以外の人達がそれぞれの武器で倒していく。

何故か襲わる頻度が少ない私は補助に回る。

私は攻撃系の魔術を使えない。

代わりに私は防御系、結界魔術を得意とする。

「Obsidione contra perficere(結界魔術),develop(展開)！」

鞄から取り出した水銀が入った小瓶から中身を取り出し操り、少しでもアサシンやセイバー、シロウ君と美少女の負担が減るように捕縛用の結界を使って何体かの竜牙兵達を捕らえた。

動きが遅いお陰で一つの結界に二体から三体を捕らえることができる。

しかし、同時に何個も展開することは今回が初めてだ。

水銀も兄やライネスちゃんのように十キログラム近くも持ち歩いていない。

今手元にある水銀では、私の実力も踏まえて五個の展開が限界だろう。

合計十数体の竜牙兵を捕らえて結界の中に閉じ込めていれば声が聞こえた。

「随分と険しい顔ね、アサシンのマスターさん」

私を新都まで出るようにお願いした張本人。

「キャスター！」

キャスターだった。

彼女はふわりと重力を感じさせない動きで私達のすぐ側の上空を漂っている。

「どういうことだキャスター、何故俺達も襲った」
「？ 別に貴方達を攻撃していないわよ？ 勘違いも大概にしていただけるかしら」

低く怒気を含ませた声で再度キャスターを呼ぶアサシンに、彼を呼べば不満そうにしながらも口を閉じてくれた。

ひとまずキャスターがそう言うのならそう信じよう。

あとで絶対に訳を聞かせてもらうけど。

困惑しながらもキャスターを見上げれば、何処となくこの状況下を楽しんでいるような節が見受けられる。

美少女とシロウ君がキャスターに目的を問うていた。

「これを見たら、その大口も叩けなくなるでしょう」
『！』

キャスターがマントの下から取り出したのは私もシロウ君も良く知る人物だった。

「藤ねぇ！」
「タイガ！」

目を瞑って意識のないタイガに、どうしてタイガがキャスターと一緒にいるのと焦燥感に駆られながら考えた。


傍らでシロウ君と美少女がキャスターへ抗議を上げているのを耳にしながら、タイガをどうすればこの場から離すことができるか、必死に探した。

場違いにも十年前のソラウさんが誘拐されたあの時、兄もこのような感情を味わったに違いないと、現実逃避も少ししてしまったけど。

ソラウさんとの違いは、タイガは魔術師ではなくただの一般人。

聖杯戦争とは全く関係ない普通の人だ。

ヒャクロクジュウサン話→←ヒャクロクジュウイチ話

ラッキーアイテム

鳳凰の羽根

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

ラッキーサーヴァントクラス

シールダー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す