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ヒャクニジュウキュウ話 ページ33

響き渡る金属音を耳にしつつ、困惑したように私を見上げてくるセイバーに向き直る。

彼女が抱えているシロウくんに、無事成功するように祈りつつ治癒魔術を施そうとして気付いた。

「……傷が、ない?」

明らかな出血量の多さが伺える程、服に血液が染み込んでいるというのに、破れた服から覗く肌には傷一つもなかった。

どういうことだろうか。

セイバーの恩恵でもあるのだろうか。

エクスカリバーの鞘は確かどんな傷でも治すという能力があるから、もしかしたら私が気付かない内にセイバーが使ったのかもしれない。

背後で断続的に聞こえてくる金属のぶつかる音を聞きながら次はセイバーに言う。

「此処は私とアサシンにお任せ下さい」
「ですが」
「赤いサーヴァントの人は私がエルメロイだと知らないのかもしれませんが、エルメロイを侮辱致しました。許せないことです。それにシロウくんを早く安全な場所に連れて行って差し上げてください」

にこりとセイバーに笑み、言葉を続けた。

「私にはセイバーに、……いいえ、貴女とは違うセイバーに恩があります。どうかそれを返させてください」
「……私の方が貴女に返さなければならない恩があります」

え?

「感謝しますA。また貴女にお会い出来て光栄です」

目を剥く私に一礼したセイバーは、シロウくんに肩を貸しつつ階段を降っていく。

小さくなっていく青を呆然と見送っていれば殊更(ことさら)大きな金属音が背後で聞こえて。

はっとして振り向けば直ぐ後ろにアサシンの背中と、舌打ちを溢している赤の男性がいた。

「マスター、こっちにも意識向けてくれないかねぇ」

頷く。

セイバーの発言は非常に気になることだけど、彼女に此処は私とアサシンに任せてほしいと言ったばかりではないか。

確りと身体ごと向き直り、魔力切れを起こし掛けているため小刻みに震える両手を少し前へと突き出し、構えた。

アサシンが拳で押し返したのか、一度赤い男性は剣で弾くと同時に後ろへと跳躍くして距離を取る。

「サーヴァント同士の戦いに、魔力切れを起こし掛けている魔術師が入ったところで戦況は変わらないが?」
「生憎、戦況を変えようとは思っておりませんよミスター。ただ、セイバー達が無事な所へ向かうまでです」

あと先程の発言に若干怒りを抱いているので、あわよくば一矢報いてお帰りいただけたらと思っているのは内緒だ。

アサシンから呆れたような念話が聞こえてきたけど気にしない。

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翔べないペンギン(プロフ) - らんらんさん» コメントありがとうございます! お褒めに預かり、応援いただき、目から汗が出るほど嬉しいです。どうぞ続編の方もよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年9月25日 21時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
らんらん(プロフ) - とっても面白いです!いつも楽しみながら読んでいます!続編も頑張ってください! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 9ff20dca42 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - 甘い缶詰さん» 一気に拝読いただきありがとうございます! そう言っていただけて非常に嬉しいです。これからも楽しんで拝読いただけるように尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2020年9月6日 19時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)
甘い缶詰(プロフ) - 初めまして!前作から一気読みしました。正直言って面白すぎて、最高です(語彙力皆無)。更新頑張ってください! (2020年9月6日 14時) (レス) id: b8e62b7458 (このIDを非表示/違反報告)
翔べないペンギン(プロフ) - ゼラチンさん» コメントありがとうございます。御拝読いただき感謝しかありません。お気遣いもいただき、目から汗が吹き出ております。ゼラチンさんもお体にはお気をつけ下さいませ。 (2020年8月30日 9時) (レス) id: 968bf19702 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/  
作成日時:2020年8月7日 20時

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