arc_en_ciel Ⅲ【虹】 (ページ4)

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「さ！始まりました～！」

「…もぉ、濵ちゃんと一緒なん、ホンマに嫌やねんけど…」

あんなにフラフラで危なかしかったハズのしげちゃんやけど、ロケが始まってしまえば、いつも通りで。

俺が支えるつもりやったのに、俺がしげちゃんに引っ張って貰ってるかも。

「一旦休憩入りまーす！」

やっぱり休憩が入ってしまうくらいにはキツいロケ。

ホンマに流石関西テレビやわ。

「…っ、！」

「……ぇ、しげちゃん…！？」

ふらっ、と後ろに倒れかけたしげちゃんを支えれば、服の上からでもわかるくらい温かい身体。

「…だいじょーぶ、はまちゃん、ごめ、」

「ちょ、貧血やろ？すぐ動かん方がええって、」

直ぐに俺から離れようとするのを慌てて止める。

とりあえずこっち、と、半ば無理やりベンチに座らせれば、ごめん、と、一言呟いた。

「謝らんでええから、これ飲んで一回落ち着き？」

ペットボトルの水を渡してやれば、素直に受け取ってくれたしげちゃん。

小さく一口だけ飲んだしげちゃんの不安げな瞳が俺を捉えた。

「…はまちゃ、…ぉれ、最後まで出来る、」

「…ん？うん、」

「………やからさ、誰にも言わんとって、…お願い、」

いつものしげちゃんらしくない、小さな、小さな声で不安そうにそんな事を言うから、今の具合は相当良く無いんやろうな、なんて察する。

「…だいじょうぶ、……出来るよ、しげちゃんなら、」

俺がそう言えば、びっくりしたようにかっ、と目を見開いた。

「…へ、……とめへんの、」

「ぇ、止めて欲しかったん？」

「…ぃや、ちゃう、………ぁりがと、」

ニコ、と少しだけ笑ってくれたしげちゃんの背中をとんとんと優しく叩く。

「よし、…行こか、」

「……ん、」

ベンチから立った瞬間、ふらっとしげちゃんの身体が傾いて一緒ヒヤッとしたけれど、しげちゃんの表情から不安の文字は見えんかった。