愛に溺れ。 (ページ2)

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(ym side)

いのちゃんからの仮告白から数週間後。

俺は大ちゃんの家に呼ばれた。

ym「大ちゃん……」

ar「ごめん……入って」

片手でドアを抑えて家の中へ招き入れてくれる大ちゃんの顔は俺の想像通り……とても曇っていた。

ym「話って？」

部屋へあがりソファへ案内される。

俺が先に座りちょっと離れた所に大ちゃんが座る。

ar「その……俺さ…、……」

大ちゃんは俯いて手をがっしりと握りしめている。

ar「いのちゃんに……振られたん、だよね……ははっ」

……知ってる。知ってるよ、大ちゃん。

だってそうさせたのは俺なんだもん。

ar「何がダメだったんだろ……」

ym「……大ちゃんにダメな所なんてないよ」

そう。悪いのは全ていのちゃん。

恋人がいながら他の人に惹かれちゃうんだもん。

ar「…………はぁ……………………ん………？山田？」

俺はソファから立ち上がり大ちゃんの目の前で屈み込んだ。

ar「……なに…？俺、変な顔してる？」

ym「ううん……凄いかっこいいよ」

そう言えば「冗談はやめろよ」と言いながら微笑んでくれる。

ym「ねぇ、……大ちゃん……」

ar「ん？」

ym「俺にしたら……？」

ar「……慰めならやめとけ」

慰めじゃないよ。

俺は、大ちゃんの全てが“大好き”なんだ。

だからわざわざいのちゃんの好みを調べて理想に近い女性になった。

大ちゃんが何かあった時に俺を頼るよう恋愛の相談事をたくさん聞いた。

そう……全て俺の“計算通り”。

ar「山田……？……っ、！？」

冗談じゃない。嘘じゃない。

そう思いを込めて大ちゃんの唇にそっとキスをする。

自分でしといて顔が……いや、もう身体全体が熱くなる。

ym「俺は……本気で大ちゃんの事が…好きだよ……？」

首をかしげ上目遣いでそう伝えるとちょっと切なそうな顔をした後、俺の頬に手を添えてきた。

ar「俺……まだ未練タラタラだけどいいの……？」

ym「……過去を忘れろまでとは言わないけど……1番になれるように頑張るよ」

ar「……そっか」

大ちゃんの唇が俺の唇に触れた。

最初は普通のキスだったがだんだんと舌が入り込んできた。

あぁ……幸せ。

ずっと待ち望んでいたこの瞬間。

ごめんね、いのちゃん。

あなたの想い人はもう、君の目の前には現れないよ。

ねぇ、大ちゃん。

俺はもう、君でしか満足できないんだからさ……君も同じように俺でしか満足できないようになってよ。