伍拾捌 回転するからくり屋敷 ページ10
私は、先ほどまでの出来事を聞かれたので、簡潔に説明した
私自身、半信半疑のような出来事であったが、二人とも納得はしてくれたみたいだった
さっきの白い結晶が、なんなのかは分からなかったが、あの女性の生命の源のようなものだろうか
私が自ら作った、手のひらの傷を、あの結晶に触れることで消えていた
心なしか、身体も軽くなっている
恐らく、傷を癒す力があるのだろう
「善逸…、正一くん、ありがとうね」
私は、そう言って二人に笑ってみせた
「「………!!」」
私の言葉に何か返すこともなく、ただただ二人はだまり続けて、心なしか善逸は顔が赤くなって居るのが分かって
「え、なんで赤くなってんの…、なんで何も言わないのさ、なんか言ってよ」
私まで恥ずかしくなるじゃない…
そんなことを思っていた矢先…
_ポンッ ポンッ
再び鼓が鳴る音が聞こえて、その音と同時に部屋が変わって、そのまま回転した
「え、何どうなってんの!?」
「部屋が…変わったあぁ!?」
部屋が回転した勢いで、私たちは落下する
あまりにも突然な事過ぎて、周りに落下を隔てるものを探す余裕もなくて、私たちは重力に逆らえないままだった
かろうじて、手の届くところに正一くんが居たので咄嗟に羽織を掴んで抱き抱える
善逸は申し訳ないけど、自分で何とかしてくれ
落下する先の麩が次々に開き、私たちはついに外の明かりを目にする
…そうか、あの男性が二階から落ちたのはこういうことだったのかと一人で納得していた
とりあえず、馨の呼吸では、この高さからの落下を和らげるような型は存在しない
だから…
「…風の呼吸 漆ノ型 け… ってちょっと善逸!!!」
私は、風の呼吸で衝撃を殺す為、刀を抜こうとしたところを善逸に引っ張られて正一くんと共に抱きしめられる
しかし、善逸は特に何か技を出すわけでもなく、目をつぶったまま落下
「え、ちょっとちょっと、馬鹿馬鹿馬鹿!!!」
このままじゃ、善逸が頭から落下してしまう…
どうしようと焦っていても、こいつ意外と馬鹿力で身動きが取れず、剣が抜けない
その間にも地面はどんどん迫って来て
…お、落ちる!!!
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作者名:あおい亜緒 | 作成日時:2020年5月17日 18時