玖拾弐 ページ44
「う、わあ…」
炭治郎を招いて、扉に鍵をかける
先程も言ったが、この屋敷は洋風である
扉のすぐ先には、艶のある焦げ茶色の階段が上へと続き、天井には硝子で作られたシャンデリア
初めて目にした時は、どこもかしこも煌びやかで、今の炭治郎のように目を奪われていた
「炭治郎、階段登るよ」
初めて目にする光景に固まっている彼に声をかけて現実に引き戻す
「ああ、わるい」
といって私について来るのを確認して、私は階段に足をかけた
階段を登っている最中も、「すごい…」「ここは日本か」とか言いながら付いてくる炭治郎
…全部声に出てるよ
階段を登りきると、上の階の入り口付近は和風になっている
ここと、客間だけは和風で造られているが、私が生活していたところは洋風作りと場所によって造りが異なっている
理由は、他所様に覗かれても、普通の屋敷だと思わせる為
万が一にも、洋館であることを悟られてしまえば、盗みに入られる可能性は非常に高くなる
この大正時代、次々に海外の文化が取り入れられているものの、未だに貴重な代物が多いことには変わりない
「ここは、和風なんだな」
炭治郎が登りきるのを確認して、地下へと続く階段の扉を閉める
「…ところで、炭治郎
その、鬼の気配とかある?」
私自身も、気配を探るが、鬼らしい気配は感じられない
念のため、炭治郎の嗅覚に頼ってみることにした
彼ら三人を連れてきた口実は、これだったからね…
「……大丈夫だ、そんな匂いはしないぞ」
ぱっと見ても、心配していたような事態にはなっていないようなので、胸をなでおろした
安心した私は、玄関まで行き、近くの梃子を引き下ろす
すると、玄関前にあった落とし穴に蓋がされ、出入りができるようになる仕組みである
_ガラガラ
「二人とも、お待たせ
こっちから入れるから、来て!!」
私は、倉庫前でうろうろしている二人に声をかけた
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作者名:あおい亜緒 | 作成日時:2020年5月17日 18時