捌拾弐 我が屋敷へ ページ34
藤の家紋の家でお世話になること数日が経過して…
「ちょっとさ、私実家に帰りたいんだけど、誰か付き添ってくれない？」
私は、このお宿が我がからくり屋敷と近いところに位置すると知って、どうしても様子が見たくなり、三人にお願いした
「あ、ここAが育った山から近いんだな いいぞ」
「まぁ、別にいいけど」
「面倒くせぇ」
後者二人があまり乗り気ではない様子…
まぁ、炭治郎だけでもいいんだけれども
善逸なんか、行く行く〜とかいつもなら言ってくれるのだろうが、先日から目線が合わない日が続いて…ここ数日録に話してない
伊之助に関しては、通常運転
実家くらい一人で行けばいいじゃんていう話ではあるのだが、師匠が亡くなってから数ヶ月間、無人となったあの屋敷が、山の中にあるという条件も積み重なって、虫とか霊とかが住み着いて廃墟と化しててもおかしくない
昼間といえど、私は一人で向かうのには心細くて、三人に声をかけた所だが…
「正直、今あの屋敷には誰も住んでいないから、私が帰らなかったこの数ヶ月で廃墟になってる可能性もあるんだよね…、虫とか、熊とか、幽霊とかが住み着いててもおかしくはないんだけど、それでも来てくれる？」
あの場所へ鬼が来たのも事実なので、最悪鬼が住み着いてたら嫌だなとは思うけれど
辺鄙な場所にある上、屋敷の中に入ることさえ困難なからくりが盛り込まれた屋敷だから、多分大丈夫だと思う
用心の為に、日輪刀は持っていくけれども
私が、三人に少し脅かすよう今ある可能性を話すと、
一人は分かったと頷き
一人は真っ青な顔で怯え出し
一人は面白そうだと興味を示した
うーん、、、
私はこの三人の反応を見て、考える
善逸はこの様子だから、付き合わせるのは申し訳ない
だからといって、二人に来てもらって、一人ここに残すのも気が引ける
できれば炭治郎を連れて行きたかった気持ちがあったが、この宿に仲裁役が務まる人間(炭治郎か私)がいなければ、善逸と伊之助は喧嘩し放題でひささんに迷惑がかかる
伊之助は、完全に興味本位でしかないが、虫や霊とかにも強そうだろうし、そのあたりに関しては頼りになりそう
「じゃあ…、伊之助に来てもらって、二人は屋敷で…「俺も行くよ」」
善逸は私の言葉を遮って、そう言った
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作者名：あおい亜緒 | 作成日時：2020年5月17日 18時
