【鬼滅の刃】猪鹿蝶と私の備忘録第弐章 (ページ20)

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陸拾捌　生き別れた双子ページ20

私たちは、倒れた伊之助を簡単に手当して、日が直接当たらない場所まで移動した

炭治郎と善逸は、羽織を枕と掛物の代わりにと貸してくれた

「…綺麗な顔……」

「…お前、それ自分に言ってるのと同じだからな」

伊之助の顔を見て思わずつぶやく私に、善逸は突っ込む

「ところで、Aとその伊之助は、いつ離れ離れになってしまったんだ？」

炭治郎は私にそう聞く

この時代だと、兄弟が離れることはそう珍しいことではない

金銭の理由で売りに出されたとか、捨てられたとか

大正時代でも割とよく耳にすることだ

ただ、私たちはそういった理由ではなくて、

母からは愛情を注いでもらっていたし、父親が野蛮でなければそこそこ幸せに暮らせただろうなと思う

「鬼に襲われたから…かな他にも父親が暴力的だったていう理由もあるけれど、
鬼に襲われた時、母は私たちを逃がしてくれて、私は、命拾いした」

伊之助に会うまで、弟は死んだと思ってたけれどと私は付け加える

「そうだったのか…すまない、酷なことを思い出させた」

「いや、そのときの記憶は、悪いものばかりじゃないよ愛されていたと思うし、母は伊之助に似てとても美人な人だったってことも」

母親の顔は、鮮明に覚えている

身内ながら、本当に綺麗な人だった

私と伊之助は、双子であるものの、男女ということもあり、そこまで似ていない

私は父親、伊之助は母親に似ている

勿論、双子である以上、隣を歩いていて「双子」だと認識されるくらいには似ていると思うけれど

同性ならではの、一卵性双生児ではない為、間違えられるということはないだろう

「…それにしても、顔以外は別人だけどな、性格とか体格とか」

「確かにそうだなぁ、Aがあんな戦闘狂だったら、ちょっと嫌かな」

私も、こんなに違うとは思わなかったよ

「Aは、賢さと記憶力に全振り、コイツは筋力と体力に全振り…Aがいくら鍛えても筋肉つかないのは、コイツに全部持ってかれたからだろうな」

ああ…確かに。それだわ

善逸のその言葉に妙に納得していた