陸拾漆 嘴平伊之助 ページ19
未だに「え?」と言いながら、私と伊之助の顔を交互に見る隣の善逸
「君の顔に文句はない
こぢんまりしていて 色白でいいんじゃないかと思う!!」
「殺すぞ テメェ!! かかって来い!!」
炭治郎と伊之助は、かかるかからないで暫く言い合っていた
伊之助は、強ければ誰でもいいんだな、ただ純粋に力比べしたいんだろうな
それならそうと、普通に手合わせしたいってお願いしたらいいのに
相手の許可なく斬りかかるから、こんなことになってんだよ
全く、伊之助をこんな野蛮にさせたのは育った環境のせいなんだろうね
困った困った…
「おい でこっぱち!! 俺の名を教えてやる
”嘴平伊之助”だ 覚えておけ!!」
「…嘴平!!Aと同じ苗字じゃないか!!」
「やっぱりいいいい!!やっぱりねぇ!!」
猪の彼の名前を知った二人は、まぁ当然ながら同じ苗字である私を見てくるわけで
嘴平なんていう珍しい苗字そうそうお目にかかることも少ないので、「同じ苗字なんだねぇ」的な流れにはならない
顔が似てるっていうのがその原因の一つではあるけれども…
「…伊之助と私は双子の姉弟なの」
「だから!!おめぇみたいな兄弟いねぇって言ってんだろうがァ!!」
「「……」」
伊之助はそう言うものの、炭治郎は やはり顔が似ているという根拠なのか、あ〜、と妙にすんなり受け入れていた
「私が姉弟だという証拠は、顔と苗字と、貴方が名乗る前に既に名前を呼んでいたこと」
「俺はお前を知らねぇ!!」
「私には、幼い頃の記憶というのが鮮明に残っているの、これを幼児期健忘と呼ぶ」
「よ…ようかんべんとう…??」
「幼児期健忘…赤子の頃の記憶は、年齢を積み重ねることによって、人間という生き物は忘れていくのよ。一般的には四歳くらいまでかな、胎児だった時の記憶を覚えているのは」
「何言ってんのかわからねぇ!!」
「私は貴方と一緒に産まれたの」
伊之助は、私が与えた多量の情報を処理しきれていないようで、心なしか頭から湯気が出てるのが見える
パクパクと口を動かして、何かを聞こうとしているのを待っていると
「……」
「……」
「…フガッ」
伊之助は、白目を向いて倒れてしまった
炭治郎のせいか、Aのせいか…
私は前者を推す
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作者名:あおい亜緒 | 作成日時:2020年5月17日 18時