陸拾壱 猪頭 ページ13
「…あ、起きた」
私は、膝の上で薄く目を開ける彼を見て、そう言った
「大丈夫?具合はどう?」
まだ視界が定まっていないのか、ぼんやりとしている
「…ここは、どこだ…」
俺はなにしてたんだっけ…と、記憶喪失紛いなことを言っているので、少し心配になる
「ここは、外だよ。私たち、屋敷から追い出されたじゃない」
「屋敷…」
「二階から落ちて、善逸が私たちのこと助けてくれたじゃん」
「……」
だんだんと意識がはっきりしてきたのか、焦点があっていなかった彼の目がようやく私の視線と重なる
「おはよう」
「…は、…え、は??」
状況を理解した善逸は、いつになく忙しない動きをする
「何!?この状況!!Aの膝…枕………天国か!!!」
…お兄さん、人の膝の上で鼻血出さないで下さい
私は、手ぬぐいを取り出して、鼻血を抑える
「大丈夫そうだけど、一応聞いておくわ…、頭大丈夫??」
「え、寝起き早々に悪口言われるの?俺?」
…確かに、どちらも心配である
私は、善逸を起き上がらせて、後頭部付近を触る
「ここ、痛くない?」
「…痛いです」
「善逸、頭から落ちて、ここ怪我してるのよ」
そこまで言うと、状況を理解したのか、頭から落ちたの!?俺、死んでない??骨折れてないよねぇ!?など喚いているので、心配なさそうです
ほら、あんたが騒いだせいで、正一くんが起きちゃったじゃない
「とにかく暫く安静にしててよ、一応けが人なんだから」
私がそう言うと、善逸は喚くのを止めて私の方へ振り返る
「なんかAに心配されるの初めてで嬉しいんだけど」
「…そういえば、善逸。貴方いつから私のこと敬称略して呼んでる訳?」
出会った当初は、Aちゃん〜〜って鼻の下伸ばしていたくせに
「いいだろ別に、それともそう呼んで欲しいのか?Aちゃん」
「あ、いや結構です。なんかむず痒いので」
私は丁重にお断りした
__バキャッ
すると突然、扉が壊れる音がする
何かにぶつかったような、木材が折れる音
「猪突猛進 猪突猛進!!」
そこには、扉を壊したと思われる、伊之助が居た
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作者名:あおい亜緒 | 作成日時:2020年5月17日 18時