【H×H】 彼女が蜘蛛の中枢にいる理由 ー出会い編1ー

【大切ななにか】 ページ28

約束したからと自分に言い訳しつつ、パソコンは元の場所に戻す。


ずっと隣にいるって言ったから。何かあったら助けるって言ったから。
それだけでも仕事を投げ出す理由に十分に値する。





ナナが苦しむ姿を見るのがものすごく辛い自分がいる。



いつもだったら、倒れたぐらいでこんなにきちんと処置しない。

ただ…………ナナはなぜか心配だった。

念が使えないからとかそういう事じゃなくて、単純に心配だった。







最初に出会った時からそうだったと思う。

もちろん素質はあった。でもそれだけじゃなくて……


あのまま放置しておくのが心配だったから。
それがナナを選んだ理由。


そのあとも少しでも負担がかからないように。
無理をさせないように。

そんな事を考えながら全部行動していた。



理由は不明。
なんだかよくわからないけど、ナナに少しでも負荷がかかるのが嫌だった。




そんな事を考えながら、静かに眠るナナを見つめる。


正直、ナナに一体どういう感情を抱いてるのかはわかんない。
純粋に仲間っていう事なのか。

普通に考えたらそうだ。だけど・・・


いや、そうだって事にしよう。そうじゃなかったら…………
そんな感情、俺にはどう対処していいかわからないし。



とりあえずナナが今ここに無事でいてくれればいい。






少し抱き上げるだけで、ほおを撫でるだけで顔を真っ赤にするところとか。
時々浮かべる笑顔とか。

そんなのを見るのが結構好きで。




だからその笑顔を見たいから。

ナナの前では絶対につくらなかった。


表情も、行動も、全部素のままで。
作り物の俺にはその笑顔は見せてくれないような気がしたから。


あとはまあ……


素の俺を見ていて欲しかったから。
そんなところかな。







客観的に見て、俺は容姿が整っている方だとは思う。
別に自慢したいわけじゃ無いけど。


だからそれを利用する。


外見だけに好意を持たせるのは簡単。
あとは懐に潜り込んで情報をもらうだけだ。



だけどナナは………


外側じゃないところを見て「かっこいい」って言ってくれたような気がした。
俺の内側を見てくれたような気がした。



だからかもしれない。









こんなにナナを大切に思ってしまうのは。

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