【H×H】 彼女が蜘蛛の中枢にいる理由 ー出会い編1ー

【寝たくない理由とその対処法】 ページ27

余計な考えを頭から振り払いながら、自分の部屋へと向かう。

片手でドアをあけて部屋の中へと入る。



唯一のベッドに昏睡状態のナナを寝かせ、俺は………

パソコン類を持って、下へと降りる。
おそらくそれが一番妥当な判断。


そう思って、外へ出ようとすると……………







「ダメ、行かないで。」





うわ言のようにそう呟かれる。



本能的に気配が離れていくのを感じ取ったのだろうか。
発熱による悪夢とか？



いろいろなパターンを検討しつつ、ナナの元へ近づく。

額に手を当てると、結構な温度。



やっぱりアルコールに慣れてないのに急にあんなに飲んだからだ。
ちゃんと見てあげていなかった自分を自己嫌悪しつつ、体温を測る。




・・・38度5分。





平熱にもよるけど結構高い。

対策を考えていると………





「やだ。ごめんなさい！怖い！」





ナナがうめき声を上げる。
同時にその原因にも行き当たる。



パクノダから聞いた情報………幼少期に親に捨てられた事がトラウマ。

多分その時の事を夢に見ているんだろう。




……その辛さは痛いほどわかるのに。



ナナをその夢から助ける事もできずに見ているしかない自分がやるせない。

俺と同じだよって声をかけられたらいいのに。


だけどその声は夢の中にいるナナには届かない。






徐々にナナの呼吸が荒くなっていく。
かなりマズイ。このままだと……危ない




効果はないかもしれないけど。

今日1日でわかったこと。ナナは頭を触ってあげるとリラックスする。
今回も適用範囲内に入ってるといいけど。



夢が終わる事を願いながら、頭を撫でる。

幸せに寝れるように。魘されなくてもいいように。




すると、荒い呼吸から、柔らかな寝息へと呼吸音が変わる。

そして眠りが徐々に浅いものへと変わっていって。









「………しゃる」



うつらうつらしながら、ナナが起き上がる。






「もう少し寝てていいよ。」
「……………やだ、こわい。」




目をゴシゴシと擦りながら、頑張って起きようとする。




ーーーその仕草にその理由は似合わないよ。




ナナが安心できるように頭を撫でる。








「大丈夫だよ。隣にいるから。………何かあったら俺が助けてあげるから。」









だからもう少し寝てていいよ。



そう聞くと、ナナは柔らかな笑みを浮かべて穏やかに眠りについた。
……今度はうなされていないよう。






よかった。その幸せそうな寝顔が見れて。

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