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…
死刑宣告(採用)を受けた私は、セミのぬけがらのように車に揺られていた。ちらりと狂人に目をやると、書類のようなものをペラペラめくっていて、なんだか仕事ができる人のようでムカついた。
「到着です」
しぶい運転手の声が静かな車内に響いた。「おりろ」と一言だけ言って、狂人はすたこらどこかへ向かっていく。ここで逃げてしまおうかと思ったが、運転手の鋭い目付きに感ずいて、断念せざるを負えなかった。
「…………でっっっか、」
車をおりれば首が痛くなるほどの大きなビルが視界に広がった。つかつか歩いていく狂人を追って恐る恐るエントランスへ向かうが、正味心は羨望で染まっていた。
エントランスを抜けエレベーターに乗り込むと、そこにはまた沈黙が待っていた。
エレベーターはどんどん下へ数字を進め、階が下る度に空気も濁った。
「……あの、ここってどこですか？」
「うるせぇ喋んな」
「し、辛辣…」
どうやら旅のおしゃべりをするタイプではないらしい。
……それにしてもここは何処だろうか。まさか白髪男に気づかれないようにこっそり私を殺すとか？もしくは…、
「……テメェそのぼーっとする癖ヤメロ」
「あ、すみません」
「次やったら殺す」
やはり鳴き声が殺すなのではないかと言おうとした矢先、チンｯと歯切れの良い音と同時にあの身体が浮く不快感を味わった。
エレベーターから廊下へ出れば、ひやりとした空気感。緊張感とはまたべつの、不快感と重厚感。
…に圧倒される私を置いて狂人はつかつか歩き始めた。
……絶対コイツモテないでしょ。
「借金女。お前、人殺したことあっか？」
静かな廊下。沈黙を破ったのはこの質問だった。
「え、いや、そんな狂ったことあるわけ、」
私の言葉を遮り、狂人は連ねる。
「それが普通だろーな。てか、テメェの生活で普通に生きてこれたのが奇跡なんだわ。
…でもここじゃ
生きたかったら狂え。でなきゃ死ね」
まっすぐ、ただまっすぐ暗く長い廊下を見据えて狂人は言葉を私に贈った。
「……それは、忠告、ですか？」
狂人は私に視線をやって、少し目を細めた。
「上司からの激励」
どこか、苦しそうだった。
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小川優(プロフ) - 三途好き、、てか、耳かきの上のやつの名前初めて知りましたw (2022年7月15日 22時) (
レス) @page8 id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
ばぶみ(プロフ) - 月宮莉夢さん» コメントありがとうございます！これからもお楽しみいただけたら嬉しいです！！ (2022年7月14日 15時) (レス) id: c38e402b4b (このIDを非表示/違反報告)
月宮莉夢 - とっても面白いです！！今後の展開が楽しみ、、！応援してます！！主様のペースで頑張ってください(*^^*) (2022年7月13日 22時) (レス) @page8 id: b5f61b261d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばぶみ | 作成日時：2022年7月12日 18時
