2. ページ3
…
やけに肌寒くて落下するような感覚で目が覚めた。ボヤボヤとする頭の中はまだハッキリとしない。
今度は頭の痛みに吊られて身体を揺らした。ズキズキと痛むこの感覚、二日酔い?毎回この感覚を味わう度に禁酒しようと思うが、そう上手くは行かないんだよな、
「……は、?ここ、どこ????」
やっとクリアになってきた視界と思考回路。
コンクリート打ちっぱなしの広い空間、自分の息が白くなるほど気温の低い場所らしい。当たりを見渡せば冷凍マグロが転がっている。
「…なにこれ、ロープ?」
視界に入る情報を視認していくうちに、自分が身動きの取れない状況にあることがわかった。後ろで縛られた手首、ご丁寧に足首にもロープが巻かれている。
「ここどこ?」という疑問。「なんで縛られてるの?」という疑問。「明らかにまずい状態ではないか?」全てを換算して出した答えは、
「__オイオイオイ、芋虫みてぇに這いずり回ってどこ行くんだよ」
背後、地を這うような低い声が私の動きを止めた。
ああ、そうだった。二日酔いなんかじゃない、この状況を作ったのは、私だ。
動かなくなった私に近づく足音。必死にもがいて擦れる服。そんな様子を嘲笑するかのように恐怖は私の髪を引っ掴んで後ろを向かせた。
「どこ行くんだって聞いてんだよクソアマ」
口元の傷、桃色の長髪、獲物を捕らえる瞳。情報量の多さと恐怖に頭がパンクしそうになるが、パチ屋の記憶が鮮明に浮かび上がった。
「借金総額3500万、ギャンブル狂で社会の底辺の中の底辺のクズ。…借りた金もきっちり返さねぇドブ野郎に生きる価値があると思うか?なぁ?スクラップ予備軍さんよォ」
男は私を床に叩きつけ、冷たく硬い床に呻き声が響かせた。
「テメェみたいな芋虫も俺らの経済回してるって考えっと愛着が湧くなァ?殺すのがもったいねぇなァ??逃がしてやろぉかなァ???」
男の言葉を拾う私の機能は完全に低下していた。
「殺す」という単語と「逃がす」という単語。希望と絶望が頭の大部分を占めている。
「お、お金は返すので、ちゃんと返しますから、」
絞り出した声に男は、にんまり目を細め、叫んだ。
「あ"はッ!!!やっぱやーーーーーめたッッッ!!!!」
眉間に突きつけられた鉄の冷たい感触。
この感触を味わうとは考えたこともなかった。
107人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小川優(プロフ) - 三途好き、、てか、耳かきの上のやつの名前初めて知りましたw (2022年7月15日 22時) (レス) @page8 id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
ばぶみ(プロフ) - 月宮莉夢さん» コメントありがとうございます!これからもお楽しみいただけたら嬉しいです!! (2022年7月14日 15時) (レス) id: c38e402b4b (このIDを非表示/違反報告)
月宮莉夢 - とっても面白いです!!今後の展開が楽しみ、、!応援してます!!主様のペースで頑張ってください(*^^*) (2022年7月13日 22時) (レス) @page8 id: b5f61b261d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ばぶみ | 作成日時:2022年7月12日 18時