第九話 ページ10
「おばちゃん、コロッケパンある?」
「あら、男バレ今日は早いんやなぁ。あるで。180円な」
「今日はなんか昼のうちは照明点検かなんかで使えへんのやって。朝早くから来てんのに損したわ。けど腹は減ってんねん。ん、ありがと」
『(もしや片割れ君の方)』
おばちゃんの暖かい言葉を胸に、教室に戻ろうと背を向けかけたその時、後ろから、それはもう真後ろから、男の人の声がしたので振り返ると、よく見た事のある風貌の、簡単に言えば色違いバージョンがいた
じゃあこの人は侑くんの片割れの人
名前は……えーっと、宮治君
「………ん?あれ、水島さん、今日朝練やらへんの?まだ弓道部朝練やっとったで」
『…………………今日は、指痛めてしもて、朝は休ませて貰ってるんよ。放課後はちゃんとやるで。生きて帰れるかは知らんけど』
「あー、顧問の藤巻先生、怪我には煩いもんな。教室に突撃されへんだけよかったやん」
『………おん』
いや、なんで私の名前知ってんねん
私なんてさっき君の名前思い出すのに5秒かかったのに。というか、話したこと無くないか?
同じクラスにもなった事ないし、接点なかった気がする。彼の名前だって侑君と同じで噂で知ったし
びっくりしすぎて結構間を開けてしまった
「じゃあ、教室まで一緒に行かへん?HRまで暇やねん、俺」
『…………へ?あ、ええよ。』
そして流れるように一緒に教室に戻る運びとなってしまった
え?マジで??私が忘れてるだけでもしかして何処かで出会って話してたとか??おっ??
いや、ダメだ、考えただけ無駄な気がする
この溢れ出る無気力感……例え初対面だったとしても「それが何か?」で終わらされる気がする
私のこの感情も無駄にな気がする。さらにそれを伝えても無意味な気がする
うん。よし、そうしよう。何も言わないでおこう
私から了承をとるや否や、宮治君は買ったコロッケパンを頬張りながら廊下をゆっくり歩いていく
後ろを歩く私を時折確認するように見ながら超ゆっくりスピードで歩いいるので、これはもしや私に合わせてくれているのではと思い、ちょっと小走りにして彼の隣に到達する
「………ありがと。一緒に教室行こって誘って、このまま話も出来へんかったらどないしよって思ってた」
『歩くスピード合わせてくれとったやろ。そんなん申し訳ないし、隣の方がええかなって。お礼なんてしなくてもええで』
「んじゃ、そうするわ」
そう言って軽く笑うと、一気にコロッケパンを食べ尽くし、間をちょっと詰めてくる
宮治君は、侑君と違って、コミュ力が高かった
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ゆず(プロフ) - 葵坂さん» こちらこそ読み漏れがあったみたいです。この作品好きで読んでいたからこそ気になってしまい勢いあまってコメントしてしまいました。読み続けようか迷っていましたが、作者様のコメント、またこの作品が好きなので読み続けようと思います。応援しています (2023年3月12日 0時) (レス) id: 843a0c5854 (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - ゆずさん» 最初に書いてある通りです。おそらく、三十二話の辺りでご不快に思われたことでしょう。大変申し訳ございませんでした。この教訓をこれからも活かして作品を作って参りますが、もしお怒りが鎮まらないようであれば、どうかこんな作者のことなどお捨ておきくださいませ。 (2023年3月12日 0時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)
ゐづき(プロフ) - 毎回楽しく読ませてもらってます!愛知の方の方言あまり知らなかったんですが香川県でも同じような使い方されてる方言があってびっくりしました!!更新楽しみに待ってます!お体に気をつけて頑張ってください🙇♀️ (2023年3月12日 0時) (レス) @page41 id: 5e32b68666 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 弓道やっていらっしゃる方ですか? (2023年3月11日 23時) (レス) id: 843a0c5854 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコマーク! - 此れって愛され作品ですか?だとしたら凄い嬉しいです! (2022年9月7日 16時) (レス) @page27 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
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