【HQ!】バレー部とのエンカウント率が高い系女子の日常【稲荷崎】

第二話 ページ3

『………バレー、バレー………お、あったあった』



昼休みの一悶着を終えて、5.6時限目は先生の出張やら体調不良やらで自習になり、比較的運動部のガチ勢が多い我らが3組の殆どは、放課後部活の為に英気を養う(昼寝)人達ばかりで、教室は屍と化していた

みんな頑張ってるんだなぁなんて思いながら、私は1人、図書室に来ていた


目的は、バレーボールについて学ぶ為である


若干妥協して引き受けたは言いものの、素人だからといって他のチームの方々の足を引っ張る訳にはいかない

たかが球技大会でも、みんなはお遊びで遠くから兵庫まで来ている訳では無いのだし、お荷物になる結果でも、私だって役にたちたいと思った


まずはルールからだな、なんて考えてフラ〜っと立ち寄ったのが図書館


技術方面は当日までチームのメンバーの助けが必要なので、そちらでおんぶに抱っこをしてもらう分、こっち方面は自分で勉強できるし、やれることはやって教えてもらおう、と私にしては珍しく勤勉な態度で挑む


スポーツについての棚に来たのは去年のバドミントンの球技大会ぶりで、元々人気がないコーナーであるここはガラーンとしている

たまにスポーツ関連の雑誌とかが入るとバレー部の、特に男子が見に来るのだが、今は授業中なこともあり、更に人なんていない


私はお目当てのバレーに関する本を見つけ、それを1冊借りると、素早く教室に戻る


2年生の棟から図書館までは結構遠くて、長い道のりを歩かなければならず、それはもう疲れるのだが、人の少ない廊下は静かで落ち着きがあって、弓道場に似た雰囲気で私はとても好きだ

それに今日は気候も良くて、ついついゆったりとした足取りとなり、いつもより2倍近くの時間を移動に費やした


窓の外を見ると、丁度2組の人達がスポーツテストをやっていて、一喜一憂しながら取り組んでいた


あ、私明日だわ。次なんだっけ。持久走……？とか思いながら、廊下を進んでいく



「あ、あのっ！」


『………？はい……？』



するといつの間にか目の前には背の高い男の人が立っていて、緊張で顔と拳をガチガチにさせながら、こちらに話しかけてきた


体操服に金に染められた髪の毛。程よく鍛え抜かれた腕が、半袖の体操服から見えていた


多分この人2組の人だな



「ば、バレー、興味あるんですか？」


『バレー……？あ、これか』



突然そんなことを聞いてきたもんだから一体どうしたんだろうと思ったけど、その理由が私が手に持っているこの本のことであると気付く



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