36.弱いことを知っている ページ40
「この辺りでいいかな。はい、そこ座って。」
「失礼しあす!!」
過保護2人に邪魔されないかつ、バスから離れすぎない場所を考えた時、外の駐車場近くのベンチに腰を下ろした。
ここからならばウチのバスも見える。
まだ人だかりも出来てないし、エンジンもかかってないからまだ人も集まっていないのだろう。ならば、少し長めに話しても大丈夫そうだ。
俺は光来くんに隣に座るよう言うと、彼はちょこんと間を詰めて座ってきた。(普通に座っただけだけど、体格差があるので一織eyesだとちょこんレベルなのだ)
「えっと、どうすれば強くなれるか、だよね。」
隣からの熱視線を感じつつ、俺は少し考えてから口を開いた。
「何を差し置いてもまず、強さは人の数だけあって、人の数だけ形があることを忘れないように。そしてそれは、自分で見つけていくものでもあるし、自分で組み立てて行くものでもある。それは知ってる?」
「わかってます。だから、一織さんはどうやって強くなったのか知りたいです。」
「強い……………俺が?」
その言葉に引っ掛かりを覚える。
俺は強い。
確かに、俺はこの中では強い部類に入るんだろうけど。
「俺は弱いよ?」
「え?」
「俺は弱いよ。今は井の中の蛙なだけ。世界には、俺より身長が大きい人もいるし、技術的に卓越した人だって大勢いる。そして何より経験の差。こればかりは埋められない。精神的にもまだまだ未熟だしね。」
だからこそ、高さとパワーだけに頼らなかった。
レシーブもしたし、テクニックも身につけたし、数々の武器を極めても尚、新しいこと強さを身に纏う。
理不尽だと言われようと、理不尽が多くなれば、俺は埋もれていく。
強さと言うものが、誰にも侵されない強者の証だと言うのなら。
俺は、まったく、強くない。
「だから、俺が『強い』ことは無い。
けれど俺は、俺が『弱い』ことを、とうの昔に知っている。
『強さ』は魔性だよ。囚われたら崩された時に立ち上がれない。
だからこそ、『弱い』俺は『強さ』に固執しない。
自分を『弱い』と自覚して、自分を磨き続けること。
努力を惜しまないこと。
そうすれば『強い』は自ずと見えてくる。
『強い』自分は、きっとその先に待っているものだと、俺は思うよ。」
食べて、寝て、学習して、練習して、そうして磨き上げてきたその先にある、より洗練された自分。
人の数だけある『強さ』だからこそ、『強くなる方法』なんてものはその人にしかわからない。
だからこそ、俺が伝えるのは『強さ』を育てる土の大切さ。
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ポンコツ(プロフ) - 好きなお話です!これからも更新楽しみにしてます(*ノ´∀`*)ノ (5月26日 13時) (レス) @page43 id: 16f55af0f9 (このIDを非表示/違反報告)
ポスバス(プロフ) - うわ!パスワードかかっていたときから待ってました、、、!!応援してます!!! (2023年4月24日 21時) (レス) id: d26458d622 (このIDを非表示/違反報告)
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