【HQ!】うちの末弟がマジ天使な件【佐久早聖臣】

2008/1/4 ページ11

聖臣が、友達からインフルエンザを移されたそうです。


聖臣は、手洗いもうがいもしっかりする子なのですが、やはりなるものはやってしまうのです。


辛そうな聖臣を見るのは私も辛いのですが、私は落ち込んでもいられません。いよいよ明日は高校最後の春高バレー。エースとして、恐れ多くも三大エースを戴いた者として、そして応援してくれる聖臣のためにも、頑張らなければならないのです。










けれど、そうはいきませんでした。


２００８年１月５日。春の高校バレー開幕。

東京都第一代表 白龍高校エース、佐久早A。


インフルエンザに感染し、欠場。


白龍高校は、エース不在の中準々決勝まで駒を進めたが、残念ながらここで敗退となる。







聖臣のせいではありません。

けれど、私も対策を怠ったわけではありません。


聖臣と同じように、どれだけ予防をしても、なってしまうものはなってしまうのです。



私は、泣きました。


テレビで、自分の高校が負けた瞬間を見た時、泣きました


私がいたら、もっと行けたんです。

私がいないチームで、あそこまで行けたなら、もっと行けたはずなんです。


悔しい、悔しいです。悔しくて、悔しくて、痛くて苦しくて辛くて、涙が止まりませんでした。


頭が痛いし、喉が痛いし、身体中が痛いし、声を出すのも辛いし、歯を食いしばるのも痛いので、泣くと凄く色んなところが痛かったけど、涙が止まりませんでした。


けれど、我慢しました。


涙は止めれないけれど、声を出すのだけは我慢しました。


聖臣に、聞かれたくありませんでした。


聖臣のせいだなんて、これっぽっちも思っていないけれど、今目の前で謝られたりしたら、酷いことを言ってしまいそうで、耐えました。


聖臣が部屋に入って来れないように、ドアにも鍵を閉めました。


頭が、喉が、体が、心が、全部痛いのを全て涙で流しました。


声が出ない分、何かに当たれない分、誰かに話せない分、私は涙を多く流して耐えました。


涙は、三日三晩流れました。


その頃には私は脱水症状を引き起こし、熱も下がらず危険な状態との事で、緊急入院をしました。

ここまで鍛えてきた筋肉が、全て無くなったみたいに細くなった足や手が、ぼうっとした頭でもよくわかりました。


そして、涙と熱で酷い顔と身体になった私を、聖臣に見られました。三日三晩、声を出さずに耐えた意味もなくなりました。



それから、私が本来の顔色を取り戻し、聖臣と真正面で向き合えたのは、それから１週間後でした。

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