【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する２

太陽の騎士 ページ10

_______その日、北米には、2つの太陽が浮かんでいた


1つは、世界を常に見守り続ける高貴なる光



そしてもう1つは、高潔なる、断罪の炎



「報告！シカゴ上空に巨大な炎の塊を確認！！北米全土の表面温度40℃を突破！！！」
「至急建物内への避難勧告を！！」
「報告！表面温度50℃を突破！！まだ上がります！！」



その炎は、北米を焼き付くさんと燃え上がる。
そして北米の温度を上げ続けた。

屋外には逃げ遅れた多くの人間が、路上に倒れて暑さに苦しんでいた。
人間が生きていける温度は、-50から50までとされている世界で、この温度は危険である



「…………軟弱なものですね。コンクリートが溶けるわけでも、木が燃える訳でも、水が一瞬にして蒸発する訳でもない温度で、この慌てようとは………」



声の主は、シカゴのとある建築物の細く伸びる電波塔の真上に立ち、背後にその太陽を従えていた



《異能力者に次ぐ！！今すぐ背後の太陽を消せ！！さもないとお前の心臓をこの弾丸が》
「静かに。米軍になど用はありません。」



太陽を従えるその男は、ヘリコプターで近付いてきた国軍に煩わしそうにそう告げると、手を翳してもう1つの小さな太陽を作り出し、中指と親指で弾き飛ばした。
その太陽はまっすぐヘリコプターへと進んでいき、機体に当たると同時に爆発を起こした。

………その場に、機材の1つも地に落ちることなく



「では、私ではどうかな」



そしてその場に現れたのは、件の「組合」の長

後ろに幹部たちを従えて、男が立つ電波塔の下にある屋上にて、男を見上げる


男は目を細めると、その場から下に飛び降りる。
そして、長が待ち構える屋上に、音もなく降り立った



「この暑さに耐えうるとは、舐めていたわけではありませんが、大したものですね」
「ありがとう。お褒めに預かり光栄だ」



男は表情を崩さない。そこからはなんの感情も見えなかった。目の前に現れた異能力者にすら、なんの興味も示さないのである。



「北米異能力者集団《組合》の団長。フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルドですね」
「いかにも、私こそがフィッツジェラルドだ。

___それで、君は何者かな？」



長がそう告げた途端、彼の足元に先程の太陽が撃ち込まれた。
背後の幹部達や、長が驚愕の表情を見せる。
何故なら、その太陽を撃ち込んだと考えられる男には、なんの動作も見られなかったのだから



「…………愚かな。私の正体さえも見破れぬと言うのに、愚かにも伯爵(アール)に手を出したとは




己は堪え性の無い愚者であると言っているようなもの」

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