帳 ページ23
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だが……。
「あれ?外れない……」
「えー?もー、Aってば、傑と僕の前だからって可愛こぶらなくてもいいよ」
ひくり、と口の端が引き攣る。
「だ、れ、が、お前らなんかの前で可愛がるか!!」
「まあまあ悟、Aだってもう結婚適齢期を過ぎてしまいそうで焦ってるんだよ。多めに見てあげないと」
「私はフォローしているようで煽りまくるアンタのそのスタイルが嫌いだよ!!!!!」
菩薩みたいな顔して言ってる事は五条よりも皮肉がたっぷりだ。
私は歯軋りをして、呪力を手に纏わせた。
そしてギィギィと鳴る扉に手を掛け、力を込めようとして……。
「Aー、僕も見てようと思ったんだけどさ、お前ってホント効率悪いよね」
「は??何言って……」
馬鹿にしたような声色に、私は振り返り……そして、ぴしりと固まった。
黒い目隠しをしゅるりと解いた五条の手には、圧倒的な破壊の力が生まれている。
呪力を放とうとしているのだとすぐに分かった。
その余りの圧力により、回らない舌で私は五条を静止しようとして……。
「ちょ、おまっ……まっ、」
「Aはこっちに来た方がいいよ。きっと塵も残さず消されてしまうからね」
その前に呪霊を縄のように変形させた夏油先輩に、安全な所まで引っ張り込まれた。
ギョッとして彼を見るも、長い黒髪を五条が生み出した引き摺り込まれるような風で揺らすだけ。
「心配しなくてもいいよ、A」
夏油先輩が、圧倒的な信頼を瞳に浮かべて唇の端を上げた。
その目線の先、五条のサファイアのような瞳が強く煌めく。
彼の掌で収束する呪力が一度強く縮み、そして一瞬にして肥大した。
「”赫”」
薄い唇が何か音を紡ぐのと同時に、光が放たれた。
それは固く閉ざされていた扉を紙屑のように破壊し、その勢いのまま寺ごと吹き飛ばす。
そのままその光は射線上にあった山を一つ消し去った。
「ま、僕にかかればこんなもんだよねー」
そんな惨状を生み出したとは思えない程の気楽な声に、私は体を震わせた。
なあ、おい、待ってくれ………。
「どうしたんだい?A」
「傑、Aは僕の強さに震えてるんだからそっとしといてあげなよ〜」
「………帳は?」
震える唇で言った私の言葉に、彼らは互いに視線を交え………。
一気に青ざめた顔で、「………あ、」と呟いたのだった。
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リュウイ - 続編も見ました!!面白かったです!また続き待ってます! (2月8日 15時) (レス) @page50 id: 2148135a94 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - (Rin)さん» ありがとうございます!いつも見ていると言ってくださり嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします! (1月5日 23時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
(Rin)(プロフ) - いつも見てます!応援してます!! (1月5日 22時) (レス) id: a9de1c3c9c (このIDを非表示/違反報告)
みるく - ゆゆさん» 本当にありがとうございます〜〜〜!!😭まだ分かっていなかったので嬉しいです!これからもどうぞ読んでくださいね🙇 (12月24日 9時) (レス) id: df78d63940 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!! 続編の行き方なんですがまだ分からなければなのですがお話を追加の所が50話になると自動で続編へ移行に変わりますよ!続編でも頑張ってくださいね! (12月23日 18時) (レス) @page49 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずき | 作成日時:2022年5月22日 17時