第五十四話『蜘蛛』桐生鶇side ページ4
鶫は嘉村環、と名乗る女性と妙な空気の中、もう一人が現れるのを待っていた。
妙な空気というのはつまり異性同士が訳のわからない所に居る中、無言状態が続くと言うことだ。鶫はもともと喋る方では無いし、それで環もなかなか話せないという、まさに妙。
……少し時間が経った頃、残りの一つのドアが開いた。
そこから顔を出した者は鶫たちが部屋の中にいることを視認すると、咄嗟に名を名乗った。
それにしても、一人称が吾輩、ね。
鶫はそう思った。古風なのか人を見下しているのか。まぁこれから分かることだと。
そしてその思考を放棄し、すぐ聞こえてきた音に気を奪われる。
急に音を発し始めたそれはTV。ルールの説明や様々なものが映画のエンドロールもかくやという長さで流れていく。そして、示された場所にポツリと存在した腕輪に目を向け、手に取った。……何か、違いがあるように、少し違和感があるが、何が違うのかいまいちよく分からない。
三つある腕輪を眺め、やっと違いが分かった。
そのうちの一つにkingと書いてあるのだ。取り敢えず、自分のものでは無いということは分かったので、そのまま腕輪を取って更に部屋を出る。
先程から、TVの音に混じってかすかに唸り声のようなものを聞こえてきたのだ。
ガチャリとドアを開け、顔だけを出してみると、犬は犬でもまるでケルベロスのような禍々しい犬がいた。可愛いやつじゃ無い、アレじゃ狂犬だと思った。
咄嗟的に部屋に戻り、一言短く環に伝え、武器となるようなものが無いか探す。
少し経って。壁に掛けられるようにして狙撃銃があるのに気づいた。仕方がない、近距離だが撃てないことはないだろう。
そしてまた廊下のようなところに戻り、銃を構える。どのように構えたら良いかなど知るはずがない。だから鶫は二、三回は外すと思っていた。
しかし、なぜか頭の中にここで撃てばいいというシュミレートができていた。
試しにそこで撃つと驚くほどに命中する。もしかして、ジョン・フォン・ノイマンと名乗った彼の能力だろうか。しかし彼は数学者だった気が……。
すると、ゲームでいうヘイトが溜まったのか分からないが、こちらに向かってケルベロス(仮)が突進してきた。
横に跳び退り、続け様にケルベロス(仮)の頭を狙い撃つ。
そして、動かなくなったやつを乗り越え、部屋に戻る。
……死にそう。
それだけ思った。そしてテーブルに突っ伏する。
第五十五話『蜉蝣』 水瀬裕貴side→←第五十三話『隼』破沼真賀流side
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ジグ(プロフ) - 終わりました (2017年3月18日 17時) (レス) id: 551194a6cd (このIDを非表示/違反報告)
ジグ(プロフ) - 更新します (2017年3月18日 16時) (レス) id: 551194a6cd (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 終わりです (2017年3月18日 16時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - 更新いきます (2017年3月18日 16時) (レス) id: 9ad4b46b38 (このIDを非表示/違反報告)
鯉城@メイドラのエルマ赤穂浪士で死亡(プロフ) - 終わりましたー、次の方どうぞ! 本当だ、順位上がってますね笑 (2017年3月18日 16時) (レス) id: 38080604d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海月 x他8人 | 作者ホームページ:( ˇωˇ )
作成日時:2017年2月3日 22時