【オリジナル企画小説】継承者Ｒ弐 (ページ5)

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第五十五話『蜉蝣』水瀬裕貴side ページ5

「しっかりしてくださいね」

能力が解かれたあと水瀬にかけられた言葉はなんとも冷たい物だった。
それも、真顔で言い放た言葉。

それが闇空だからこそ、絵になり許せると言うものだろう。

「あの…これから、どうするんですか？」

遠慮がちに声を上げたのは、二人よりだいぶ背の低い休來珱流と名乗った少女だった。

水瀬は困ったように頭を掻いて、考え込む。

依然、彼女から不安の色は消えない。

「とりあえず、ルールにあった能力？の確認しねぇとだよな…闇空さんのはさっき分かりましたけど、まだあるかも知れませんし」

「能力…私にもあるのかなぁ？」

ぽそりと休來が呟いた言葉は水瀬の耳に届いた。

「皆あるってルールにあったろ？お前の力がどんなかは知らないけど、ぜってぇあるから心配すんな」

くしゃりとその不安げに俯く彼女の頭を撫でて水瀬は言葉を続ける。

少し柔らかくなった空気に休來が安堵の表情を浮かべた。

「で、外には堕落者なんていう化け物がいるらしいんで、武器を探しましょう。」

一方の闇空は、指図するなと言わんばかりに腕を組み、きりきりと此方を睨む。
その視線に居心地の悪さを感じつつも、水瀬は武器捜索の意を唱えた。

「私に指図しないで下さる？リーダーはあくまでも私なのですから」

「まあ、そうですけど。行動しない事にはどうにもなりませんから。」

只ならぬ雰囲気を出し始めた二人に休來があわあわと慌て出す。

「白衣なんて着てらっしゃるのに随分行動派ですのね。まあ、良いです。今回の件に私は異論はないので武器を探して堕落者に能力を試しに行きましょう」

最初からそうしてくれ、と困った顔をしながらも、水瀬は武器の捜索を始めた。