【オリジナル企画小説】継承者Ｒ弐 (ページ8)

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第五十八話『鯱』天野永久side ページ8

鯱＿＿千尋夜、那楠、永久の三人は、突如表れた三体の堕落者との真っ最中である。

永久が相手にしているのは、人間に近い形をしているが四つの翼を持ち、手の先に三十センチほどの鋭い爪を生やしたやつだった。それは今まで一度として見たことがない姿だ。

空へ飛び上がり、落下の勢いも加えた強力な攻撃を繰り出してくる。

永久は自慢の動体視力を駆使して高速攻撃を避けるが、その後堕落者は空高く飛び上がってしまうため、反撃の隙がない。

このままだと体力は限界を迎え、堕落者にやられてしまう。

その前にけりをつけなくては。

まずは飛行を無効化。属性の力で自分を囲むように水を張り、そのままの状態で待機。堕落者は空中から地上へと降下して水の壁をものともせず体当たりを繰り返す。
永久はそれを最低限の動きで避ける。それの繰り返し、だがしばらくすると、堕落者に異変が起こり始める。

攻撃が遅くなっていくのだ。それだけでなく、体力も大きく消費しているようだ。

「かかったな」

永久は笑みを浮かべる。これは作戦だ。

水の壁を破るにつれ、堕落者の羽は水に濡れて重くなっていく。そして飛べなくなった時に、渾身の技を叩き込む。

落下する堕落者に合わせ永久は構えた。ウォーターカッターのように水を勢いよく、右手から放出。

左手に刀を持ち、堕落者にX字の斬撃を食らわせる。体は四つに引き裂かれ、堕落者は息絶えるのだった。