【オリジナル企画小説】継承者Ｒ弐

第六十五話『蜉蝣』闇空玲玖 ページ15

窓から飛び出した勢いそのままに、俺は体を宙に浮かせる。


「はッ！」


俺は勢いよく、狼のようなその堕落者を切りつけた。動きが鈍り切ったそいつは動くことすらもかなわず、もろに攻撃を受けてよろめいた。

化け物とはいえども、武術を使い慣れた俺の一撃はよく効いたらしい。


「貴方達も攻撃するといいですわ」


後ろから来ていた二人に言い放った。俺は後ろを向くことも、それ以上の言葉をかけることもせず、次の能力発動を狙う。俺は、炎を意味するヒエラティックテキストを思い浮かべて、詠唱した。


「燃えろ！」


奴の体に火が燃え移った。テキストは形をとって宙に浮きあがり、なおもその獣に絡みついていく。

使い慣れていないせいか、テキストは30秒ほどで消えてしまった。俺は攻撃を食らわないように、距離をとって奴に矢を放つ。

いくら当てても、獣は倒れなかった。


「水瀬！」


俺はとりあえず忠告した。今度は彼が狙われたらしい。何の能力を持っているのかは知らないが、こんな雑魚にやられてしまっては困る。

とっとと切り抜けてくれよ、俺はそう思いながら狼を睨みつけた。

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