第六話 ページ6
「蒼生、どうしたのこれ。まさか趣味の悪いラブレター!?」
「……ラブレターというより呪い」
寮暮らしの望月 蒼生は同室の友人と共にとある手紙を凝視していた。その手紙は一面真っ黒で差出人も不明。しかし、どうしてか友人宛ではなく、自分宛と思った蒼生は友人のいない所でソレを開けた。
『明日の正午、地図に記してある場所に来てほしい。そこで最強の英雄を決める』
たったそれだけ。紙に不釣り合いな小ささの文字で書かれていた手紙はラブレターでも呪いの手紙でもなく、訳の分からない招待状である。地図に記された場所は朝の電車に乗れば間に合うだろう。丁度授業も入れてないので彼女はなんとなくその場所に向かってしまったのだった。
*
指定された場所についた時、蒼生は感嘆の声を漏らした。これ程美しい建物は見たことないと。教科書にも載っていない未知の建造物。写真にでもと思ったが携帯の充電が運悪く切れていて、落胆するが、せめて目に焼き付けようと瞬きを忘れるほど見つめていた。
そんな悲しみが吹っ飛ぶ程のことが起こるとは誰が想像したか。
「ふざけないで。どうしてこうなった」
周りにいた十数人の男女が扉に手をかけるのを見て自分も、と扉に手をかけた所すんなり開いて中に入れば閉じ込められてしまった。扉は固く閉ざされていて開く気配すらしない。携帯の充電がないことで救助も呼べず、生存への確率が限りなく低いことに彼女は珍しく感情を顕わにし、憤慨している。
これからこの部屋でどうするべきかとしばらく天を仰ぐと天井に書かれた模様が文字に見えて、目を細めてもっとよく見ようとすると半ば無意識に声に出していた。
「ナ……ナイチン、ゲール?」
言い終わると同時に部屋が眩い光に包まれ、蒼生は反射的に手で目を覆った。
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I’m(プロフ) - A (2019年10月5日 15時) (レス) id: 12d36b8d85 (このIDを非表示/違反報告)
鯉城@二航戦バンザイ(アローラの姿)(プロフ) - 作者様、お話が全て埋まってしまったので続編お願いします。 (2017年2月3日 20時) (レス) id: fb07d4ff14 (このIDを非表示/違反報告)
烏丸(プロフ) - 終わりました。 (2017年2月3日 18時) (レス) id: bf31fee5d1 (このIDを非表示/違反報告)
烏丸(プロフ) - 更新します。 (2017年2月3日 18時) (レス) id: bf31fee5d1 (このIDを非表示/違反報告)
鯉城@二航戦バンザイ(アローラの姿)(プロフ) - 終わりました (2017年2月3日 10時) (レス) id: e72c19c3f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海月 x他9人 | 作者ホームページ:( ˇωˇ )
作成日時:2017年1月28日 10時