昔 ページ46
「昨日ね、昔の夢を見たの」
「中学生の頃の夢。私、ノヤと中学が一緒なんだ」
教室の天井を見上げる。
潔子「知ってる。でも、Aの口から聞いたのは初めてだね。」
「うん。今まで言わなくてごめんね。」
潔子の方を見ると首を横に振っていた。
「こんな話聞きたくないかもしれないけど、私ね、中学の時ノヤと色々あってなかなか言い出せなかった」
潔子「聞きたくないわけないじゃない。今話してくれて本当に嬉しい。」
いつのまにかヘラッと笑っていた私に対して、潔子は真剣に真っ直ぐな瞳を私に向けた。
「今頃遅いかもしれない。
でも、昨日気づいてしまったことを聞いてほしい」
潔子は優しいから断らないって知ってる。
でも、不安と緊張で声が震えた。
あぁ。人を信じるのってこんなにも大変なんだ。
潔子「…そんなのっ、いつでも聞くっ、ずっとAが話してくれるのを待ってた」
信じて待ってたの、と声を震わせて涙をグッと堪えて言う潔子に涙が出そうだった。
「私ね、昔バレーやってたの。ポジションはリベロ。
凄く楽しかったし自分が上手いって確信もあった。
でもね、中3になったばっかりの時にできなくなっちゃったの。」
私が話すことを真剣に聞いてくれる潔子に涙がこぼれそうになった。
でも私が泣く資格なんてない。
「原因は膝を故障したこと。膝の皿が壊れちゃったの」
膝の皿が壊れたって、リハビリすればバレーができないこともない。
「リハビリすればまたできた。コートにずっと立っていることは無理だけど、できないことはなかった。」
自分の膝が思い通りに動かない。
今までできていたことが全くできない。
「でも私は、今までできていたことができない自分に苛立って、バレーが嫌になった」
潔子にこんなこと話したって同情されるだけかもしれない。でも、潔子にはどうしても話しておかないと、と思った。
「ノヤと初めて会った時、”できないことは何もない！”って言ったのに自ら挫折の道を選んだ。バレーをやらない選択を選んだ。」
どんなに辛くたってやめてはいけないってわかってた。
でも辛くて辛くて仕方なかった。
「私は逃げた」
潔子の方を見ると涙を流して泣いていた。
なんで潔子が泣くの？私の話なのにどうして泣くの？
同情？哀れみ？
「両親は離婚するし、もう何もかも嫌になってこの道に辿り着いた。」
潔子が哀れみを向けるわけがない。
まるで私の代わりに涙を流してくれているようだった。
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さくみ(プロフ) - おかかのおにぎりさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます！春頃の県民大会なんですね！ご指摘ありがとうございます！直してきます。本当にありがとうございます！ (2020年3月13日 3時) (
レス) id: 8ec2e6d345 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - さくみさんいつも楽しみに見させてもらってます！！潔子さん好きの私にはサイコーです！！一応補足させて頂きますが、東峰さんが伊達工に捕まりまくったのは、春頃の県民大会であって、春高とは恐らく別物かな、と。上からに思えたらすみません！続編も応援してます！ (2020年3月12日 8時) (レス) id: 64b2331bfd (このIDを非表示/違反報告)
さくみ(プロフ) - みおさん» ありがとうございます！潔子さんの話あまりないですよね、私もそう思います！！更新頑張りますね！ (2020年2月20日 6時) (レス) id: 7862236ae4 (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 清子さんの話ってあんまりなくて見つけてすごい嬉しかったです！！これからどうなっていくのか楽しみです！更新頑張ってください〜待ってます！ (2020年2月20日 0時) (レス) id: 68de5461dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくみ | 作成日時：2020年2月16日 8時
