ただ、大切に想うのです。 ページ17
※零さん視点。
『私、朔間先輩のこと好きです。でも、好きだからこそ、付き合えません』
静かにそう告げたAは、強い瞳でこちらを見ている。
その意思の強い輝きを宿した瞳は、ライバルである少女の姿を思い浮かばせた。
彼女がプロデューサーになってからまだ日は浅いが、随分成長してきていることは事務所でも話題によく上がる。
その度に誇らしい気持ちにも、複雑な気持ちにもなる。
今までAに目もくれなかった奴らが彼女に寄っていく姿を見るのはあまり良い気分にはならないから。
｢……それは、おかしなことを言うのう｣
彼女の言葉は他者が聞いたら矛盾しているように聞こえるだろう。
けれど、口ではそう言いながらもAの言葉の意図は理解しているし、好きだと言ってくれただけで良いとさえ思ってしまっている。
無論、付き合えた方が良いに決まってはいるが。
『ごめんなさい。でも、私はアイドルの先輩も好きなんです』
｢っ！……知ってるよ、痛い程にな｣
そう笑えば、彼女はぐっと言葉を詰まらせたような顔をした後、顔を鮮やかな赤色に染め、それを隠すように俯いた。
｢だからこそ、尚更諦められねぇんだけど｣
『なっ！？ちょ、先輩……！？』
テーブルの上で強く握り締めているその手に、手を添えればAは顔を上げ、狼狽えた表情を見せる。
｢なぁ。そんな素直に意識した顔見せられたらつけ込みたくなるだろ…♪｣
『や、やめてください……』
いっぱいいっぱいな様子で真っ赤な顔のまま、小さな声でそう口にするAは、抱きしめたいぐらい可愛い。
でも、抱きしめて良い関係じゃないからこれ以上触れたくなる前にそっと手を離した。
｢我輩、諦めは悪いほうでのう｣
本当に冗談抜きで自分は諦めが悪い、面倒な男だと思う。
俺の為に身を引いてくれる目の前の良い女を困らせる悪い男だ。
｢……愛している｣
宝物みたいに大事で、一言一句口にした想いはAに届くだろうか？
驚いた顔をした後、瞳を潤ませたAは口を引き結んだ。
｢返事は次のライブの後で、聞かせてほしい｣
今断る術を奪い二人分のお代を置いて席を立つ。
何か言われる前に早々に店を出てから、深く息を吐いた。
二度もフラれてやるつもりなんてない。
けれど、もしこの気持ちが迷惑なら次でAを想って歌うのは最後にするから。
｢…我ながら必死じゃのう｣
そう溢した言葉は街の騒音に掻き消された。
きっと、この選択に後悔はないのです。→←不意打ちをくらってしまいました。
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さぁ - りっ、凛月君も書いてるだとっっ...！み、見なきゃ今すぐ← 無理しない程度に頑張ってください！ (2021年6月3日 17時) (
レス) id: fd66046518 (このIDを非表示/違反報告)
安城(プロフ) - さぁさん» 初めまして。コメントありがとうございます…！ふとした瞬間に出てしまう素の零さんはこだわったので、そう言っていただき嬉しいです！また最後までお読みいただきありがとうございました！現在は、凛月くん夢を執筆している為、終わった後俺零さん夢書こうと思います！ (2021年5月12日 14時) (レス) id: 5852e8de80 (このIDを非表示/違反報告)
さぁ - 一気に読んでしまいました・・・！こんな凄い文才うらやましい！(何が言いたいのかわからない)時々(？)登場してくる俺様零様にずっとニヤニヤしっぱなしでした。こんどは丸々俺様零様のお話を読みたいです！楽しみにしてます！本当にお疲れ様でした！！ (2021年5月11日 23時) (レス) id: fd66046518 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：安城 | 作成日時：2020年10月28日 16時
