困り事60つ目 ページ13
ベッドの横に腰掛けて、右側に渉くん、左側に研二くん、それから渉くんの隣には班長、研二くんの隣には松田さんが居て、皆に見られながら詳細を話す。
事実だけを淡々と、途切れることなく。渉くんがぼくの手をぎゅうと握るのをそのままに、これまでのことをありのまま全て語った。
「そうか、そうか…ッ、くる、しかったなァ、つらかった、よなぁ」
研二くんがぼたぼたと顔を涙で濡らしながらぼくの頭を撫でる。大きくて優しくて、絶対にぼくを殴らないとわかる安心できる手。思えば彼のこの手が違和感の始まりだった。あの時人生で初めて感じた胸がぽかぽかとするその気持ちが安心感と言うのだと知った。
「ごめん、ごめんね、っ、たくさん、たくさん、痛かったよね、気付いてたのに、何もできなくてごめん…っ！」
渉くんがはらはらと涙を零しながらぼくの手を額に当てる。温かい手。いつもぼくを導き引っ張ってくれる手だ。ぼくと彼のような関係を友と呼ぶのだと。親友と言うのだと。初ての友。ぼくのだいじなひと。ぼくをだいじにしてくれるひと。この互いを大切に思う気持ちを友情と言うのだと知った。
「胸糞悪ィ…！自分のガキにやっていい事の区別もつかねぇのかよ！」
ガシガシと乱暴に頭をかきながら額に青筋を浮かべて怒る松田さん。感情が表に出やすく、何でもハッキリ言う彼によってぼくはさまざまなことを知った。嬉しい時には笑っていい、悲しい時は泣いていい、そんな当たり前のことを教えてくれたのは彼だった。
「まぁまぁ、気持ちはわかるがそれを言うのは捕まえてからにしようぜ」
笑顔で宥めながらも、ぐらぐらとした怒りが瞳の奥に讃えられているのが分かる。班長はこうしてみんなを纏めてくれる。その包み込むような頼もしさに、誰かを頼ることを、助けを乞うことは罪では無いと教えてもらった。
景くんも、降谷さんも、それぞれぼくに気付きを、教えをくれた。どれも今のぼくになくてはならないものだ。
皆を見ながら改めて思う。
こんな凄い人たちが集まって、ぼくを助けようと動いてくれている。それなら絶対にぼくは大丈夫。
皆の顔を見回して、笑みを浮かべる。
「ぼくのために怒ってくれて、悲しんでくれて、ありがとうございます。改めて、皆さんにお願いします。…たすけて、ください。もう、次こそは、次の現場で死ぬんだって、思いたくない。また明日って、言いたいんです…！」
「ああ。絶対に助けるよ」
「…！ッ、はい、はい…っ！」
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きゃすみ(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました！！素敵な作品を作ってくださりありがとうございます！！ (2023年3月10日 14時) (
レス) id: e6f2b24efc (このIDを非表示/違反報告)
セイカ - 更新したんですね！相変わらずめっちゃ良かったです！ (2022年12月23日 12時) (レス) @page15 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新お疲れ様です！ (2022年12月22日 21時) (レス) @page15 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
ライキ - うわぁぁぁぁぁぁん！！！結くんーー！！！！！仲間たちを頼ってくれてありがどうぅぅぅ！！！！ (2022年12月7日 18時) (レス) id: c3cdfe919e (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - めっちゃ好きな作品、、、！最高、、、！これからも無理せずに更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年11月24日 19時) (レス) @page12 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
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