もう少し優しくなれませんか皆さん【文豪ストレイドッグス】

ツンデレ96 ページ46

或日の暮方の事だった。

私は、一人で家に居た。

最近、ある人の事がいつも頭に浮かぶ。

気付けばその人を探し、その人を見、その人の笑顔を一瞬ちらりとでも見られたら嬉しくなるのだ。

告白された日から、何かきっと違った。

他の人より、何かが違っていた。

皆格好良いし、好い人だ。

私が想いを寄せる事が許されると思っていないし、私自身そんな相手が居るとは自覚する迄露ほども思っていなかった。

自覚したのだってつい最近だ。

誰にもバレないよう、誰にも気付かれぬよう、最近はずっと気を張りっぱなしで、出来事なんて殆ど憶えていない。

彼との会話も、実は余り憶えていない。

緊張し過ぎて、如何にかなってしまいそうだったのだ。

いつ返事をしようか、如何話を切り出そうか。色々私らしくもなく悶々とした。

いっそ、皆の前で云ってしまおうか。

厭それは公開処刑過ぎて私が耐えられない。

やばい如何しようほんとに如何しよう。

いつ言うの？

私、いつ言うの？

今でしょ？

謎の自問自答を繰り返し、私は着の身着のまま飛び出した。

家には行かない。

ただ、彼を探すだけだ。

大丈夫、未だ暮方。夜では無い。

私は走った。

咄嗟に閉めた家の鍵と、端末だけを持って、走ったのだ。

彼に会う為。

彼に、遅ればせながらの返事をする為。

そして其がどんな結果になっても良いように。









居た。

嗚呼、居た。

優しい様で優しくなくて。
優しくない様で優しくて。

わたしの、初恋。


「─────ッ！」




驚いた顔をする貴方に、私は飛び付いた。

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