ツンデレ81 ページ31
「本当は貴女の恋路を見守る心算でした。僕と居ては倖せにはなれぬと思っておりました故」
私の方を向く事なく、然しそっと手を握られ話される。
待って。あくちゃんにはひぐっちゃんが。
駄目厭だ。この先は聞きたくない。
私は、あくちゃんの手を振り払おうとした。
矢張り、あくちゃんも男だ。全く、振り払えない。
「然し気が変わりました」
「……やだ…いや…聞きたくない…あくちゃんいやだ…！」
「…………僕は貴女の恋仲になりたい」
何かが壊れる音がした。
私とひぐっちゃんの、何か。
私はふっと意識が揺らぐのを感じた。
「俺も忘れんなよ。梶井も立原も」
「や……いや…いやだ…んな…こんなの……！！」
私は何とかあくちゃんの手を振り払い、応接間から飛び出した。
何処を走っているのかも判らない時、不意に声は聞こえた。
「柚！！！」
太宰君だ。
私は、思わず飛び込んだ。
「ちびっ子マフィアと居るのが見えたから真逆と思ったら…怖かったろう」
「ちが、違う。何で、私なんかが何で……」
太宰君の服をぎゅううと握る。
太宰君は、服に皺が付くのも気にせず、言葉を続けた。其は私には本当に恐ろしいもので。
「今君に伝えるのは酷だけれど、私や国木田君、谷崎君や敦君も乱歩さんも、君の事が好きなのだよ。気付いていないのはもう君だけで」
頭が真っ白になった。
急いで太宰君から離れると、いつもの苛立たしい笑顔を浮かべた侭云う。
「賢治君も云っただろう？“宣戦布告”だと」
ひゅっ、と喉が鳴る。
「真逆判らないとは云わせないよ。敵が居なければ彼も宣戦布告などしない。其位は判るよね？」
判りたくもない。
私は、思わず胸を抑えた。
「……好かれる事が怖いかい？」
「な、に……？」
「素直になれないだけなんだ。彼等…厭、私も含めてね。想い人が居た事が無いから、如何接するべきか、判らない。国木田君は別だよ？公私を分けているからね」
何が、独歩君が何って…？彼等が何だって……？
「私も、正直な所今どんな顔をすれば良いのか判らない。募る愛しさを顔に出して良いのか、全く判らないのだよ」
“けれどね”
言葉を続ける太宰君。
私には、如何にも出来なかった。
「私は君が好きで堪らない」
其処からの記憶は殆ど無い。
気付けば家に居た。
……………明日、仮病使おうかな。
私は一夜で、多くの友人を失った心持ちになった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1533人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
果鈴 - めっちゃ面白かったです。テスト期間なのに夢中で読んじゃったです (2019年9月30日 17時) (
レス) id: 5b8fccba8f (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 葡萄シャーベットさん» 葡萄シャーベットさんありがとうございますー！落ちは中也さんも太宰さんも全員分書かせて頂きますー！！！気長にお待ち下さいませ！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 傀儡さん» 傀儡さんありがとうございますー！！落ちは全員分書かせて頂くので！遅筆、雑文ながらに頑張りますので気長にお待ち下さいませ！！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 妃薫。さん» 妃薫。さんありがとうございます！！落ちは中也さん含める全員分書かせて頂くつもりですのでお待ち下さいね！！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 鶴夜さん» 鶴夜さんありがとうございます！神では無いですよー！！笑 落ちは全員分書かせて頂くので気長にお待ち頂けたら幸いです！ (2017年6月24日 14時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
