【名探偵コナン】警察学校に入学したら同期の兄ちゃんたちに甘やかされて困ってる【男主】

困り事5つ目 ページ6

昼休憩後の術科訓練。初めて銃を打つという事で緊張していたが、的の外に当たる事はなかったので安心した。

5発打った所で松田さんが銃を分解してしまって、訓練が中止となった。銃ってそんなに簡単にバラバラに出来るものなんだなぁと思いながらも拳銃と空薬莢を返却する。

暫くすると、銃弾が一発返却されていないとかで騒ぎが起きた。伊達班長に犯人を自首させる、と睨まれる(何もしていないけれど思わず震えてしまったのは許して欲しい)中、そんな時でも喧嘩しようとする降谷さんと松田さんだったが、天井から音がしたかと思えば作業員が落ちてきて助けようとした鬼塚教官の首に縄が絡まってぶら下がった。

急展開だなぁ、と思いながらもあの二人はどうやら5人がなんとかしてくれるみたいだから日中は滞在している養護教諭を呼ぶため術科訓練棟を出て走る。

「失礼します、鬼塚教場津守結です。術科訓練棟、射撃場にて事故発生、天井が崩れ落ちてきた作業員を救出に動いた鬼塚教官が巻き込まれ首を吊られた状態です。下ろした際の救命措置をお願いしたく呼びに来ました」

養護教諭が慌てて立ち上がるのに「こちらです」と走りながら詳細を説明する。時間にして4分弱。射撃場に入ると、既に教官たちは救出されており、歓声が上がっていた。養護教諭をその中心に通してもらい、気絶している作業員と教官を診てもらう。

「事態発生してすぐ養護教諭を呼びに出た津守、英断だった。よくやった」

首が締まっていた事で掠れた声で言われた鬼塚教官の言葉。気絶した作業員と共に医務室へ運ばれる前に掛けられた、賞賛の言葉。

「…ありがとうございます」

その後、擁護教諭にも呼び出されて状況説明が簡潔で良かった、君のお陰で早い段階で状況が把握出来た、助かった、などとお褒めの言葉を頂いた。

ぼくみたいな社会のゴミでも人を助けられた。初めて誰かの役に立てた。ああ、この感情を“歓喜”だなんて簡単な言葉で終わらせたくない。だから覚えておこう。きっとこの感情は、いつかぼくを立派な人間にしてくれるから。

「ナイスフォローだったね津守ちゃん！」

「萩原さん！ありがとうございます」

褒められて嬉しくてへらりと笑うと、萩原さんが驚いたような顔をしてそれから安心したように笑った。

「なんだ、ちゃんと笑えるじゃん」

「？」

「こっちの話♡それより、偉かったね、結」

頭を撫でられた。ぼくを殴る気がないと分かる優しい手に、何故だか胸がぽかぽかした。

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