【名探偵コナン】田舎から引っ越して来たら隣の家のお兄さんが警察官だった

八話 ページ8

ようやく彼等が飲み始めて、最初に酔ったのはやはり研二さんとお兄さんだった。

景光さんと零さんは底無しかと思う程酔わないからあの二人は良いとして、この二人は酔うと本当に面倒臭い。

「柚ちゃん本当に可愛いなぁ…」

「萩原離れろや俺の妹だぞ」

「嫌ですぅ〜！俺にとっても妹なんですぅ〜！」

端的に言えば、絡み酒が酷い事この上ない。…特に私に。

あの三人の方行けばええのに。

「相手疲れるだろ？ちょっと休憩してチョコレート食ってろ」

お兄さんと研二さんを引き剥がしてチョコレートを渡してくれる航さん。パパだ。パパのような圧倒的包容力だ。

じんとしながら“ありがとうございます…”と言えばいつもの様に爪楊枝を咥え、ニッと笑った。

「航さんまじパねぇ…」

「ん？何だ、柚？」

「何でも無いです…零さんチョコレート頂きます」

「おう」

綺麗に包装された袋を丁寧に破り、畳んで捨てる。

開けてみれば、もうはちゃめちゃに美味しそうなチョコレートが数個並んでいて、これでウン千円とかするんだろうなとか考える。

普段なら絶対食べられないチョコレートだ。

大事に食べよう。

スマホで写真を撮り、早速一つに手を付ける。

ざまに美味い。

「やばい…美味しいやばい…園子ちゃんのお家で頂いた事あるチョコレートの味だ…」

感動に浸りながら咀嚼する。

全て有難く頂き振り向いたら、床に転がった焼酎の量に驚き、アルコールの強い匂いに鼻が若干麻痺している事が分かった。

…明日休みで良かったですね二人とも。

「…あれ、お兄さんと研二さんは？」

「一旦休憩ーつって煙草行った。今の内に帰った方が良いぞ？美味しそうに食べてて可愛いけど構って貰えないって拗ねてたから戻ったら二時間は離れなさそうだしな」

「え、早急に帰ります！今日はありがとうございましたお二人に宜しくお伝え下さい但し一週間出禁です！」

忘れ物が無いかぱぱっと確認して、まだベランダに居る事を確認してから慌ててリビングから飛び出る。

酒と煙草なんて悪魔のコンビだ。逃げるに限る。

急いで隠された靴を取り出し履いて、玄関先に掛けられている私の家の鍵を手に取り「お邪魔しました！」と一応声を掛けておく。

家に入り、戸締りをして、まだ22時にはなっていたかったからlineで少し明日遊ぶ予定の3人と話した。

「…父さんと母さんは今頃電車かな」

いつも通り、あと三十分もすれば帰るだろう。

今日は先程の事を話そうかな、楽しみに思った。

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