六話 ページ6
夕飯が出来た頃にようやく伊達さんが来て、六人で零さんと景光さんが作ってくれたご飯を食べる。
…やっぱり美味しい。私だってこの人たちが居ない時には親に「先に作って食べてなさい」って言われて自炊だってしてるのに。負けた気がして悔しい。
黙々と食べながら思っていると、ふと横から箸が伸びてきて、茄子が皿に入れられた。
「……………お兄さん」
「ん?」
「へぇ…何事も無かったフリが出来るなんて随分と強かになりましたね???これはお返ししますよ」
「何の事か分からねぇな。それは元々お前の茄子だ。たまたま俺の皿に入っていただけのな」
いけしゃあしゃあと言ってのけるお兄さんに呆れながら私は茄子をお兄さんのお皿に返す。
なんだなんだとこちらを見る四人になんとかしてと言いたいが、目を逸らせばそれ等しく負け。なんとしても負けられない。
「松田」
睨み合っていると、冷たい声が飛んできた。
二人でそちらを恐る恐る見ると、零さんがにっこりと綺麗な笑みを浮かべていた。
「この僕が作った飯が食えないんですか?」
「食えます…」
大人しく茄子を口に入れたお兄さんには目もくれず、景光さんがあわあわとしながら言う。
「ゼロ、安室入ってる安室入ってる」
零さんは時折プライドの高さが見える。
…料理の美味しさもそのプライドから来てるのかな、とか思ってしまった。
それにしても安室透…やっぱり同一人物なのか…怖い…零さん何者…。
「柚、コイツがまたお前に食べ物を寄越した時はその日中に俺にメールをしておけ。後日俺から叱っておく」
「零さん…ざま好き…」
「方言柚めっちゃ可愛い」
「…多分心の声と反対ですよ零さん」
ぽんと肩を叩かれハッとした様に咳払いをし“ありがとな”と言い直す零さん。
今のは逆に怖いな。
もぐ、とご飯を口に入れながら“そう言えば”と零さんに向き直る。
「零さんが安室透ながっていうのは分かったけど、何で教えてくれんかったがです?この間蘭ちゃんたちとポアロに行った時物凄く驚いたがですよ?激似な顔でにこにこ笑ってて軽く恐怖でした」
「え」
ショックを受けた様な顔をする零さん。他の四人は爆笑している。
景光さんも外では同じ感じの猫被りで怖いっちゃ怖いんですけど。え、誰。ってなりますけど。
この幼馴染は揃って猫被りが怖い。
「まぁ俺たちはそういう仕事だもんな」
「君も聞くだけじゃなく調べてみて?理由ならそこで分かる」
三人は知ってるのに。…狡い。
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トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!方言聞いて癒されてる降谷さんと諸伏さんとても面白かったですww警察学校組の過保護な感じめっっっちゃ好きです!!!!!!!素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年2月18日 20時) (レス) @page38 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
さしみ(プロフ) - あんこさんのお話私好きです!またいろいろ読みに来させて頂きます♪ (2021年1月8日 11時) (レス) id: 52bb9638d4 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、警察学校組好きなのでたくさん登場していて、うれしいです。(*≧∀≦*)夢主ちゃんの方言もかわいいです!(*´ω`*)続き楽しみに待ってます(*≧∀≦*) (2018年9月30日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 桜さん» 初恋の人話題にはまたいつか出るので楽しみにしてて下さいー!笑 (2018年8月25日 11時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 誰なんだ??初恋の人って? 続き頑張って下さい! (2018年8月24日 19時) (レス) id: ae3d71bb82 (このIDを非表示/違反報告)
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