三話 ページ3
「考えた事なかったです…けど、強いて言うなら…」
「言うなら?」
「……多分、歳の離れた兄妹の様な気分で居るんじゃないですかね。七年も隣に居るんですし」
どこか他人事の様に言う。明確に分からない事を伝える際、左手で口許を隠すのは私の軽い癖だ。
それを見てお兄さんは嬉しそうに笑った。お、やっぱり少年顔だな。笑うと更に…と、口に出したら怒られそうだから心の中で思う。
「俺が兄…そうか…へぇ…」
によによとしているお兄さんを少し気持ち悪く思いそっとソファから移動すれば、すっかり機嫌を良くしたお兄さんがわっしと私の腕を掴んで私を足の間に置いた。
いや待って。なんで。
「妹が居たらこんな感じな訳ね。ふ〜ん…面白ぇな」
「私全然面白ないんですけど…というか忘れてます?私ただのお隣さんの女子高生ですよ?傍から見たらセクハラですよ?」
「ほぼ毎日ここに来てるのにただのお隣さん認識なのか俺」
少しばかりショックを受けている様なお兄さんに一つ溜息を吐き、肩から伸ばされた腕を掴んで右腕に頭を凭れさせた。
仕方ない。今回も私が折れよう。
それに今回は私の例えが悪かったからな。
「そればかりは感謝してるんですよ。お兄さんのお陰で、昔から夜は寂しくありません」
あ、やばいこの体勢寝れる。
離れようと思ったら、お兄さんが「こんなに大きくなりやがって……」と私の首を絞めるものだから、眠気は一瞬で消えた。
「いや、ちょ、まって…力つよ…」
「はぁ柚…お前は俺たちにもう少し甘えろよ?」
「話の流れどこいったがですか!?」
「お、方言柚。良いね」
私の左肩に額を置きもう一度ぎゅうと抱き締められ、ようやく満足したのか離される。
……お兄さんは明日から三日間出禁にしよう。
「やっぱりお兄さん危ない人に見えます」
「妹を愛でてるだけじゃねぇか」
「私にシスコンな兄は居ませんよ」
「おら、着いたらしいから俺の部屋行くぞ」
「無視ですか…って、え、ちょっと、早すぎませんか」
腕を引かれながら玄関先に置いてある鍵を取るお兄さんと、なんでお兄さんが取るんだと言わんばかりに見つめながらも軽い靴を履く私。
お兄さんは隣だからまぁ良いかと踵をそのまま踏みシューズを履いている。跡になってしまえと心の中で呟いた。
そして隣のお兄さんの家に入る。…汚い。
「さて、片付けるぞ」
「…謀りましたね?!掃除手伝わせる気ですか!?」
「おう」
「おうじゃないですよもう!」
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トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます!!方言聞いて癒されてる降谷さんと諸伏さんとても面白かったですww警察学校組の過保護な感じめっっっちゃ好きです!!!!!!!素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました! (2022年2月18日 20時) (レス) @page38 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
さしみ(プロフ) - あんこさんのお話私好きです!またいろいろ読みに来させて頂きます♪ (2021年1月8日 11時) (レス) id: 52bb9638d4 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、警察学校組好きなのでたくさん登場していて、うれしいです。(*≧∀≦*)夢主ちゃんの方言もかわいいです!(*´ω`*)続き楽しみに待ってます(*≧∀≦*) (2018年9月30日 23時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 桜さん» 初恋の人話題にはまたいつか出るので楽しみにしてて下さいー!笑 (2018年8月25日 11時) (レス) id: 6e1ddb073f (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 誰なんだ??初恋の人って? 続き頑張って下さい! (2018年8月24日 19時) (レス) id: ae3d71bb82 (このIDを非表示/違反報告)
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