四話 ページ4
それから腰を落ち着けた彼と暫く話していて分かったが、ドラコは僕が思っていたよりずっと素直で、純朴な少年だった。両親に優しくも厳しく、大切に育てられたのだろうと分かる。少々生意気で高圧的な物言いをするが、それも自信の表われだろう。子どもらしくて可愛いものだ。
「そうだ、大事な事を聞いていなかった。君、寮は何処を希望しているんだい？兄君はスリザリンのようだし、やっぱりスリザリン？」
「僕は…そうですね、グリフィンドールですかねぇ」
「へぇ、あの猪突猛進なバカ共の寮にかい？もう少し君は賢いと思っていたのだけれど、違ったようだ」
「少々学生の間にやりたい事があるだけですよ。ダンブルドアはグリフィンドール贔屓ですし、校長のお目こぼしがあれば多少は自由に動けるでしょう？」
不思議そうな顔をするドラコにウインクする。まぁダンブルドアのグリフィンドール贔屓を利用したいのを抜きにしても、私が闇の帝王の分霊箱を破壊するべくとった行動は、どう考えても勇猛果敢と書いて猪突猛進なバカと読むグリフィンドールと比べて遜色ないものだし。
お陰で未だに水は誰かが口を付けなければ飲めないし、湖や海には行けない。私の記憶を得た後、水を恐れる理由が分かった為もう大丈夫だろうと湖に遊びに行って且つゴブレットに水を入れて飲もうと試みたら見事に過呼吸を引き起こして癒者を呼ぶ程の騒動になったが、それは今言っても詮方ない事である。
「ライアン、君、本当にグリフィンドールかい？余程スリザリンらしいじゃないか」
「まさか。僕ほど猪突猛進なバカは居ませんよ、きっとね」
「…そんな事はないだろ」
「君は僕の全てを知りません。実はそういう一面もあるのかもしれませんよ」
くすくすと笑いながら彼を見る。彼は一つ溜息を吐き、腰を上げた。グリフィンドールに入る僕にもう用は無いのだろう。ルシウス先輩の息子と仲良くなれるか、とも思いはしたが、二寮の確執は無くならないしままならないものだなと苦笑しながらも、僕も特に引き留める理由も無かった為、また外に目を向けた。
「…君なら、僕に声を掛ける許可をくれてやっても良い」
出て行く直前呟かれたそれに弾かれたように見る。ふはっと噴き出して、返す。
「ぜひ食事も共にして下さると嬉しいです」
「ふん」
これは肯定。本当によく先輩に似ているなと微笑ましく思う。再び一人になったコンパートメントは以後開かれる事なくホグワーツへ到着した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
巫咫刄(プロフ) - うわー続きが気になるやつやん。これからが面白くなるやつやん｡お早い更新お待ちしております！ (2023年1月15日 15時) (
レス) @page13 id: f01b4a7cd8 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の薔薇(プロフ) - 最っ高！！続きを楽しみに待ってます！！！ (2022年2月3日 13時) (レス) @page11 id: 462d698004 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
