十五話 ページ15
水が入っているゴブレットを前に困る新入生なんて僕以外に居ないだろう。だが新入生がいきなり「毒味をしてくれ」なんて言えない。こんなに喉が渇く食事ばかりだなんて思わなかった。飲まないつもりでいたのだけれど、無理だ、これは。
スープで喉の渇きを凌ぎつつ目の前のゴブレットを睨む。6年間使っていたホグワーツのゴブレットならばと思ったが、手に取った途端に喉がきゅうと締まったため、早々に諦めた。
なんとなくちらりと兄を見やれば、僕を気にしていたらしく目が合う。すぐに席を立ってこちらへ向かって来た。
宴の最中に席を立つものだからやたらと視線を集めたが、それも気にせず真っ直ぐ僕の元へ来ると頭を撫でてくれた。
「全く…僕に相談もしないで無理をして。もう少し早く言ってくれれば根回しくらいしておいたのに。いや…マルフォイから聞いていたけど本気にしなかった僕の責任だ。すまなかったね」
「それは、兄様のせいでは…」
「…僕も君から声が掛かるのを待っていたのに。つれないな君は」
「ドラコ…でも君も家の付き合いがあるし、そもそも君に毒味なんて」
「言い訳無用。さ、ゴブレットを寄越して」
これ以上はどう反論しても封じられるだろう。大人しく兄にゴブレットを渡す。ゴブレットの中身を呷り、喉が上下するのをしっかりと見て、僕はやっとほっとする。ゴブレットを受け取り、礼を告げた。
「兄さん、ドラコ、ありがとう」
「貴方たち、何をしているのですか？」
「申し訳ありません、マクゴナガル先生。弟は少々水にトラウマがあり、こうして誰かが目の前で飲んでやらないと倒れてしまうのです。寮が分かれ、誰にも言えず困っているようでしたので」
「まぁ！気にせず言ってくれれば良いものを…よろしい、弟を気遣うその優しさにスリザリンに2点差し上げましょう。ライアン・バートン、貴方も何かあればしっかり口に出すのですよ」
はい、という僕の返事のすぐ後、兄が口を開く。
「僕から良いですか？明日からは弟のゴブレットは銀を使ったものにして頂きたいのですが」
「銀？…ああ、勿論良いですとも。そのようにしましょう。ライアン・バートンも、不安ならば今日はスリザリンの席で食事をしても良いのですよ？」
「いいえ、大丈夫です、先生。僕も早くグリフィンドールに馴染みたいのです。でも明日からは暫くは兄たちとも食事をしたいと思います。お騒がせして申し訳ありません」
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巫咫刄(プロフ) - うわー続きが気になるやつやん。これからが面白くなるやつやん｡お早い更新お待ちしております！ (2023年1月15日 15時) (
レス) @page13 id: f01b4a7cd8 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の薔薇(プロフ) - 最っ高！！続きを楽しみに待ってます！！！ (2022年2月3日 13時) (レス) @page11 id: 462d698004 (このIDを非表示/違反報告)
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