捌ノ咄 ページ8
「訳が判らない、と云いたげだね？」
リンタロウと呼ばれたおじさんが振り向く。
………嘘だ。
「森、医師(せんせい)………？」
「久方振りだねぇ、怜君」
「何故貴方がマフィアに…厭、何故僕を此処へ…」
「君の異能を確認する為だよ」
僕の心臓が波打った。
恐怖と混乱の為だ。
「叔父さん…叔母さん…っ！」
涙目になり乍僕は二人を呼んだが、二人は此処にはもう居ない。
逃げようにも、抱えられている為逃げられない。
「………何てね」
「…えっ？」
「異能については本当だけれど、君は未だ判っていない。故に今日は見逃そう。但し、エリスちゃんと夜まで遊ぶのだよ？」
エリスちゃん、というのは先程の美しい少女だろう。
……何故僕がそんな事を。
「逃げたら如何なるか位、賢い君なら判るよね？」
「…はい」
…嗚呼、矢っ張り気付かない振りをしておくべきだったかな。
でも、二人が無事で良かった。
不意に中原さんが森医師に話し掛けた。
「この組織は如何しますか」
「そうだねぇ、其はこの子が居ない時に」
「畏まりました、首領」
「さ、君はエリスちゃんと遊んでおいで」
「……判りました」
家族が危険にならないのなら、僕は其で良い。
「エリスさん…あの…何を…」
「此を着て」
にっこりと愛らしい笑み。
対する僕の顔は真っ青。だって、彼女が持っていたのは
「私とお揃いよ♪」
──ドレスだったから。
「あのー、僕、男です……」
「だから？」
きょとんとした顔で云われる。
「で、ですから、あの、せめて人払いを…」
「嗚呼、恥ずかしいのね！ほら、皆出て！二人で遊ぶんだから！」
森医師迄出そうとしてしまい、僕をじとっと見られた時は頚が飛ぶかと思いました。
「も、森医師だけは、居て貰いましょう？ほら、見張りも必要でしょうし…ね？」
顔が輝く。………然し。
「や！リンタロウきもい！」
大の男が膝から崩れ落ちる所を僕は初めて見ました。
森医師……こんな人だったなんて…。
「エリスさん。そこを何とかお願い出来ませんか？……ね？」
目線を合わせて懇願する。
すると、小さな声で仕方無いわね…。と仰って、僕も何とか危機を脱しました。
「あっ、でも、着替える時はレディですし僕達は出ましょう！森医師、構いませんか？」
「…君は着替えないのかい？」
「…絶対ですか？」
「まぁまぁ、着てみなよ」
───黒服の方に連れられて、別室で着替えさせられました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 365人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蛍(kei)(プロフ) - あんこさん» 深夜テンションの塊だなぁとは思ったけど突っ込まないでおく((( (2017年2月25日 12時) (
レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 蛍(kei)さん» いえー！ありがとー！！夢主君のドレスに突っ込まないでくれてありがとう深夜テンションでこれ殆ど書いたんだ← (2017年2月25日 9時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(kei)(プロフ) - どもどもー、零御だぜ！やばいナオミちゃん可愛い……(( (2017年2月25日 0時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
リズ - この作品面白いですね！ (2016年11月13日 23時) (レス) id: 9929c522bf (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - あんこ様、太宰さんとの絡みを書いて頂き、ありがとうございました！最高に面白かったです！！これからも頑張って下さい！ (2016年10月28日 19時) (レス) id: 3767d3feec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
