皇帝の寵妃【天祥院英智】

復学 ページ21

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「もう戻ってきたのか。若いモンはタフだな〜？」



「新学期早々、出遅れちゃいましたけどね」





　新年度、4月。桜の季節がやってきた。Aは無事3年生になり、鬼のスケジュールも要領よくこなせるようになってきたため、復学した。



　というものの、仕事により新年度早々欠席をし、しかも昼からの登校である。本来ならこれは致命傷だが、Aは去年も基本ひとりで過ごしていたのでさほど影響はない。



　Aは復学の書類を佐賀美先生に提出するために職員室に来ている。これが椚先生だと、いちいちスカートの長さを注意されるので厄介なのだ。





「そういや、今日から2年生にプロデュース科のテストケース1号が来てるんだよ。おまえと同じ、女子生徒だぞ」



「女の子ですか？嬉しいです」



「慣れないだろうから、よかったら先輩として面倒見てやってくれ」



「わかりました」





　椚先生が戻ってきては困るので、そそくさと退出する。昼休みに合わせて登校してきたので、Aはその足でガーデンテラスに向かう。歩いていると、無駄に広く豪奢な校舎が懐かしい。



　Aの在籍は3年B組になった。名簿を見るに、今年も英智とは違うクラスになったようでひと安心だった。



　人から聞くかぎりでは、英智は未だに入院しているらしい。Aも忙しいので、別れてから連絡は取っていない。連絡先までは消していないけれど。



　あんなに一方的かつ、ほぼ喧嘩別れのような終わり方をしてしまったので、できれば顔を合わせたくない所存である。



　多忙に揉まれる中で、英智への未練などは完全に消えてなくなった。仕事に支障を出さないようにと、Aはあの恋愛を過去のものとして割り切っている。



　気まずさは残るが、英智とどうこうなろうという野望は全くない。相手の気持ちに期待もしていない。



　高校最後の1年が平穏に送れて、仕事も順調に進めばそれでいい。お昼ごはんがぼっちだろうと気にしない。



　心機一転の新学期である。

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