【作り物】 ページ17
＿＿＿＿＿
［別れる………なんて、僕の聞き間違いかな？それとも冗談？
タチの悪い冗談はやめてくれないかな。本当に心臓が止まってしまいそうだ］
こんな時でも英智は饒舌だった。いやむしろ、戸惑いを隠すために取り繕っているのかもしれない。笑い声も空元気に聞こえる。
英智はブラックジョークで笑うが、Aは一切笑う気になれずに続ける。
「冗談じゃないよ。もう別れた方がいいと思って……」
［理由を聞かせてくれるかい？］
理由を尋ねる英智の声は、いつもに増して穏やかだった。しかしAには、尋問をするように冷たく聞こえた。
「そもそも私に、恋愛してる余裕がないの。英智のことも理解できなくなって、素直に応援できないし。私の知らない英智が増えてきて怖いとさえ思ってきて。本当にごめ＿＿＿」
［怖い？僕が？］
Aは息を呑んだ。英智はひとつひとつ丁寧に絞り出したAの言葉を遮って、これまでになく冷徹な空気を漂わせている。
［君が今まで知らなかった………知ろうとしなかっただけで、実際の僕はこんな根暗野郎だよ］
続けて、｢彼の言うとおりにね｣と小さく呟いたが、Aにはなんのことかわからなかったので言及しなかった。
ここまで冷たい英智をAは知らなかった。Aに見せていなかっただけかもしれないが。今の彼は、手段を選ばない残虐な皇帝にしか見えない。
今までの楽しかった思い出も、英智の心からのものではなかったのだろうか。Aに向けていた、天使のような微笑みは作り物だったのだろうか。
「私と関わって、付き合うようになったのも英智の計画の一部なの？」
［それは………］
「私や朔間くんが学院から離れることになったのも、月永くんが壊れたのも、全部英智が手を回したの？」
［落ち着いて。全てが終わったら何もかもを話すから、一度僕にも整理させて欲しい］
英智は宥めながらも否定しないので、Aは全てを諦めた。聞く予定ではなかったことまで問い詰めてしまったが、もうどうでもいい。これ以上は話したくない。
「別れよう、今までありがとう」
［待って、A＿＿＿］
英智は何かを言いかけていたが、Aが通話を終了したことでその先は届かなかった。
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wx667p9bc7(プロフ) - 続き気になる〜 楽しみ (1月16日 20時) (
レス) id: 3c68cd38f5 (このIDを非表示/違反報告)
トド(プロフ) - ゆさん» 大変お待たせいたしました！これから更新進めていきますのでお楽しみに！ (10月15日 23時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - とても続きが気になります！余裕がある時に執筆いただけたら嬉しいです՞⸝⸝> ̫ <⸝⸝՞ (10月8日 23時) (レス) @page1 id: 11ae07be49 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - アテネさん» ありがとうございます！前作が完結したらバリバリ進めていきたいと思います (8月31日 21時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
アテネ - これから頑張れー (8月31日 21時) (レス) @page1 id: 26234630b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トド | 作成日時：2023年8月31日 20時
