シンデレラの姉 (ページ8)

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08.何もできなかった私ページ8

〆．

「…………ん！お義姉さん！！」

「……A、？」

誰かの声なんて、聞こえるはずないのに。

ましてや、城に匿われているはずのAの声なんて。

「い、いた！お義姉さん！！」

「A……！？何してるの！！危ないでしょう！？」

「お義姉さんを助けに来たの、舞踏会に二人が来てたから今は家にお義姉さんしかいないと思って、だから会いに来たら家が燃えてて、」

私に会いに来た？

「なんで……」

「お礼、言えてなかったから……！ありがとうって、ちゃんと伝えてなかったから………！」

ろくに酸素も吸えないこの空間で、言葉を紡ぐA。

当たり前に、咳き込んだ。

「っ、私のことなんて、忘れなさい！はやく出てって！」

「嫌、だ！」

「だって私は………あなたに何もできなかったのに」

あなたにお礼を言われるようなこと、できなかったのに。

目を伏せると、Aは私の手をしっかり握った。

「名前を呼んでくれた、こんなに素敵な髪飾りをくれた、私の命を救ってくれた…………本当に私、嬉しかったの」

Aの涙が、私にまで移った。

〆．