呪いの王ときたら姫もいる【呪術廻戦】

#18 ページ20

だが宿儺は、ほんの少し、ほんの少しだけの違和感を感じていた。
転生、ではないような、そんな違和感。


「……まァ良い。1000年ぶりの再会とするか。」


ニタァと笑い、一瞬でAの前に着地する。
特級呪霊の事など、もはや頭に無い。


呆然としているAの顔を覗き込み、


「さて、紅刹、残念だが残念お前には記憶が無い。
そうなればお前は紅刹であって紅刹では無い。それでは俺が困る。」


と言うが、Aには何も届いていない。



「(どうしようどうしようどうしようどうしよう！！

倒さなきゃ皆死ぬ！！私だって死ぬ！！


でも傷つけたら、もしかしたら、悠仁にも被害が...)」



それ以前に、





足が、動かないんだ。





「...っ」





怖いって。怖いって思った。
初めてかもしれない。怖いって思ったのは。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。


殺されるのが怖いわけでは無い。

死ぬかもしれないのが怖いわけでは無い。




自分が、怖い。




こんな状況でも叫ばず、泣かず、ただただ冷や汗を流すだけで済んでいる、自分が怖い。



成長なんかしてしまった、自分が怖い(嫌だ)。




あの頃。
純粋で、無邪気で、何も知らなかったあの頃。



悠仁とただただ遊んで、笑って、泣いて。

お兄ちゃんと、お母さんと、笑って、笑って、笑って。




あの頃と、今の自分は別人だと、現実に言われている様な気がした。




嫌だよ。そんなの。あの頃のままがいい。嫌だ。







「……どうして。」

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