【inzm】雷門の天使様２ (ページ24)

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　特訓中の円堂たちの元に、用務員の古株が現れる。

｢よう、精が出るなぁ｣
｢古株さん！｣
｢この間の尾刈斗中との試合、見せてもらったよ！良かったなぁ……まるでイナズマイレブンの再来だな！｣

　イナズマイレブン。聞き覚えのある単語に引っかかり、Aは考え込んだ。自分はこの言葉を知っている。サッカーをしていた小学生の頃ではない、もっと前……それこそ、この世に生を受ける前に。この感覚は、初めて円堂に出会った時の既視感にも似ている気がした。

｢イナズマイレブン……｣
｢どうしたの？ A。みんな休憩するみたいよ｣

　我に返ると、秋が不思議そうに此方を見ていた。

｢あ、ごめん。今行くね｣

　どうやら円堂たちは、古株にイナズマイレブンについての話を聞くことにしたようだ。木陰から立ち上がり、ジャージについてしまった汚れを払う。
　最近は何かと考えることが多くなった。何にも巻き込まれず穏やかに生きていけたらきっと一番幸せなのに、彼らのサッカーに惹かれてしまうAにはそれが出来ないのである。

◇

｢イナズマイレブンってのは、40年前に雷門中学にあった伝説のサッカーチームだ。フットボールフロンティア優勝目前だったのに、あんなことがあって……｣
｢え？｣
｢……いや、ああ、なんでもない。とにかくすごい連中だった！あいつらなら、世界を相手にしたって戦えたはずだ｣

　円堂が瞳を輝かせる。

｢イナズマイレブンかぁ……！｣
｢そうさ、お前さんは伝説のチームの血を受け継いでるんだ！｣
｢じいちゃんの？｣
｢円堂大介は、イナズマイレブンの監督だ。まさにサッカーそのもののような男だったよ！｣

　サッカーそのもののような男。まさに今の円堂守にぴったり当てはまる言葉だ。円堂は、祖父似なのだろう。

｢よーし、俺、絶対イナズマイレブンみたいになってやる！じいちゃんみたいに！｣
｢一人でなる気かよ｣
｢ん？ ……勿論みんなでさ！な？｣
｢おう！｣

｢俺たちは、イナズマイレブンみたいになってみせる！｣

　円堂という太陽は、仲間がいてこそ輝く光だ。本当にこのチームは、短期間で精神的に大きく成長したものである。この空間は、ひとつになった心が具現化しているようで心地好かった。

｢……イナズマ、イレブン｣

　心に引っかかったことは何一つ分からなかったが、円堂たちと共に歩んでいけば、いつか分かる日が来るのだろうか。

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