【inzm】雷門の天使様２ (ページ11)

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　不気味なオーラがぶわりと漂ってきたと思ったら、尾刈斗中イレブンのお出ましであった。オカルトの名を持つ学校名通り、何というか真夜中の洋館に出てくるお化けのような雰囲気の人たちだ。

　フィールドの中央で、雷門中と尾刈斗中の両者が向かい合う。監督同士の挨拶が終わると、尾刈斗中の監督・地木流灰人が豪炎寺に話しかけるのが見えた。Aはその瞬間、尾刈斗中の目的が雷門に転入し、サッカー部を救ったヒーローとなった豪炎寺であることに気づく。地木流に何を言われたのか、染岡が苛立った様子を見せるが、円堂が話しかけたことで収まった。
　キャプテンらしくなってきた円堂に、はらはらしていたのも忘れて笑みを零す。

｢さあ、試合開始です！あの豪炎寺修也を迎え、最高の布陣で挑む雷門中イレブン。対する尾刈斗中も、キャプテンの幽谷を中心に11番武羅渡、10番月村など、強力な攻撃陣が揃っているとの情報が入っております。さあ、どのような試合になるのか。いよいよキックオフです！｣

｢気合い入れていこうぜ、みんな！｣
｢おう！｣

　ホイッスルが鳴り響き、尾刈斗中からのキックオフで試合が始まった。
　武羅渡がマックスをドリブルで抜いたが、その後少林がスライディング。奪ったと思われたボールだが、月村が拾う。豪炎寺を目的に練習試合を申し込んできたというのはその通りで、尾刈斗中は彼に対するマークを徹底的にしている。他の選手には見向きもしないあたり、豪炎寺さえ封じ込めれば雷門は敵ではないとすら思っていそうだ。
　ディフェンス陣を抜いた月村が円堂と1対1になり、シュート体勢に入る。

｢食らえ、"ファントムシュート"！｣
｢"ゴッドハンド"！｣

｢おおっと！月村の豪快なシュートを、キーパー円堂見事にキャッチ！｣

　円堂は、完全に"ゴッドハンド"を物にした様子だ。エース格のシュートを円堂がしっかり受け止めたのを目にしたディフェンス陣の肩から、安心したように力が抜けるのがわかった。

　ゴール前にいるだけで味方に安心感を与えられる存在であることは、GKとして最も大切な素質。キャプテンとしてもGKとしても急激な成長を見せる円堂は、まさに雷門の眩い太陽である。

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